元WBA世界ミニマム級王者の宮崎亮(27=井岡)が、再び世界戦の舞台に立つために存在感を取り戻しつつある。昨年大みそかにライトフライ級契約で23歳のタイ人選手と対戦。3回KOで下してノンタイトル戦4連勝を飾った。

 13年9月のWBA世界ミニマム級戦で2度目の防衛に成功し、同王座を返上した宮崎は、同年12月のノンタイトル戦で2階級制覇に弾みをつけるはずだった。だが、減量の失敗もありファーラン・サックリン・ジュニアにKOで敗れ、プロ24戦目で初黒星を喫した。その後は世界戦のチャンスはなく、昨年中に一時世界再挑戦プランが浮上したが消滅。モチベーションは低下した。

 しかし「激闘王」と呼ばれる男の復活で、宮崎の闘争本能は再び点火し始めた。その男とは、日本人で3人目の世界3階級王者となった八重樫東(32=大橋)だ。八重樫は、14年12月にWBC同級王座に挑戦も失敗。だが、その後、ノンタイトル戦に2連勝し、昨年12月29日にIBFライトフライ級王者メンドーサを破って王座を獲得した。

 宮崎はかねて八重樫との対決を熱望していた。現在のライトフライ級には八重樫の他にも、WBCの木村悠、WBAの田口良一と日本人の世界王者が3人君臨しているが、宮崎は「八重樫さんとやりたいんです」と言い続けてきた。

 「僕は強いやつとやりたいんです。八重樫さんとやって勝ったら、ボクシングをやめてもいい」。敗れはしたが軽量級世界最強とも言われるローマン・ゴンサレスにも果敢に挑んだ八重樫に、宮崎は男としてほれているかのように力を込める。

 ジム同僚で親友の井岡一翔は「2階級制覇すると思います」と宮崎の復活を信じている。その井岡は12年6月にWBC、WBA世界ミニマム級王座統一戦で八重樫と拳を交えて勝利している。「宮崎VS八重樫」が実現すれば、複合的な因縁も重なって、通常以上の盛り上がりが期待できる。「会長からGOサインをもらえるように頑張りたい」と宮崎。現在、IBF世界ライトフライ級3位で、いつ世界戦のチャンスが来ても不思議ではない。その時まで“浪速の番長”は、静かに牙を削ぐ。【木村有三】