千葉・鎌ケ谷市にある朝日山部屋は毎週木、金曜日の週2回、玄関前で「あさひベーカリー」をオープンしている。師匠の朝日山親方(元関脇琴錦)の現役時代の活躍を伝えるトロフィーの目の前に、所狭しと手作りパンが並ぶ。同親方は「相撲部屋が地域の人たちにとって身近な存在となってほしかった。コロナ禍で人の出入りが少なくなる中で、地域ににぎわいを作るきっかけになっている」とうれしそうに話す。

パンの指導員の資格を持つ同部屋のおかみさんと管理栄養士の資格を持つ次女の松沢里嘉さんが切り盛り。調理場にパンを焼くオーブンがあるとはいえ、営業日は毎朝4時起きでオープンに備えて仕込み作業に追われる。北海道産小麦を100%使用する無添加の食パン、米粉のカンパーニュ、総菜パンなど常時20種類以上の商品が並び、序ノ口の錦丸は「クリームパンが好きです」。部屋の力士たちも、思わず買い求めてしまうほど癖になる味だ。

開店からはや2年がたち、地元住民だけではなく関西圏や県外からも訪れる盛況ぶり。相撲部屋にパン店があるという異色さで、人気を博している。【平山連】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)