【米ラスベガス20日(日本時間21日)=奥山将志】WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司(31=帝拳)が、米国デビュー戦を足掛かりに、アメリカンドリームを手繰り寄せる。5度目の防衛戦の前日計量が、試合会場となるホテル内で行われ、挑戦者の同級1位バルガスとともに1回でパス。陣営は、今回勝利すればV6戦も米国で行う方針で、ビッグネームとの対戦も視野に入れていく。日本を代表する豪腕が、本場の舞台で未来を切り開く。

 歴戦の武士のように、闘争心は内に隠した。計量を終えた三浦は、一切表情を変えず、静かに水を口にした。世界的な大型興行とあり、会場となったホテルのパーティールームには約7000人のファンが集結。大音量で流された音楽の合間を縫って、歓声とブーイングが飛び交った。初体験の本場の雰囲気にも「すごい規模と豪華さ。さらに試合が楽しみになった」と貫禄十分に言ってのけた。

 関係者からの期待は高く、異例のセミファイナル抜てきに加え、米ケーブル局「HBO」のPPV(ペイ・パー・ビュー)に日本人として初めて起用されることも決まった。海外ブックメーカーのオッズでは、無敗のスター候補バルガスがやや有利。それでも三浦は「KO勝ちのイメージしかない。それだけの準備はしてきた。必ずベルトを日本に持ち帰る」と約束した。

 勝利の先には、米国を舞台にした、さらなるステップアップも見えてくる。陣営の本田明彦会長は、防衛を果たせば、来春に予定するV6戦は再び米国で行うと明言。その上で、今後の対戦候補として元WBAフェザー級王者で26戦全勝(21KO)のウォータース(ジャマイカ)、アテネ五輪金メダルの元フェザー級2団体王者ガンボア(キューバ)らの名前を挙げた。

 「この試合に勝つことで、もっと大きな舞台でビッグネームと戦えると思う」と語った三浦。未来は目の前の最強挑戦者との一戦にかかっている。「豪腕伝説」が、ボクシングの聖地ラスベガスで幕を開ける。