IBF世界ミニマム級王者の京口紘人(24=ワタナベ)が初防衛に成功した。同級3位カルロス・ブイトラゴ(26=ニカラグア)を自慢の左ボディーブローで圧倒。8回2分28秒、相手をロープに詰めてラッシュしたところでレフェリーが試合を止めた。日本選手最速のデビューから1年3カ月で世界王座を手にした逸材が、デビュー以来の連勝を9戦全勝(7KO)に伸ばした。

 京口が指名挑戦者のブイトラゴを力でねじ伏せた。初回から必殺の左ボディーブローで主導権を握った。接近戦でのアッパーに、鍛えてきたジャブを巧みに織り交ぜた。

 KO防衛を自分に課していた。最軽量級のイメージを変える決意で臨んだ7月の世界戦では、終盤にダウンを奪ったものの、KOで決着を逃していただけに、試合後は「KOにこだわった。相手の心が折れかけたのが分かった。できればキャンバスに倒したかったけど」と傷のない顔で笑った。

 挑戦者は3階級制覇したニカラグアの英雄アレクシス・アルゲリョ(故人)の最後の弟子といわれる強打と技巧を兼備した試合巧者。この経歴に京口は「オレはジョーちゃんの弟子。負けるわけにいかない」と逆に闘志に火が付いた。中1から大阪帝拳ジムでボクシングを始め、元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎から指導を受けた。伝授されたのが左ボディーブロー。その秘伝のパンチで初防衛できたのがうれしかった。

 五反田のジム近くの寮に住んでいたが、7月に世界王者になると8月20日には月11万3000円の家賃で、2Kの築3年のマンションに引っ越した。それでも「マンションは2年契約。次はもっといい家に住みたい」。今後の目標は「ミニマム級で強いチャンピオンとして防衛し続けること。まだ今日は70点」。プロ15カ月で頂点に立った24歳は、まだ伸び盛りの成長期にある。