プロボクシングのWBC世界フライ級王者比嘉大吾(22=白井・具志堅スポーツ)が、またジンクス打破で凱旋(がいせん)KO防衛だ。2月4日に沖縄でのV2戦に向け、27日に都内のジムで公開練習した。沖縄の世界戦では具志堅用高会長(62)ら日本人は3戦全敗だが、日本タイ15連続KOもかかる。ここまで全勝KOで奪取、沖縄出身でKO初防衛など、いくつもの壁を打ち破ってきた。入場券は14分で完売という地元の期待に、また記録を塗り替えて故郷に錦を飾る。

 比嘉のV2戦を発表したのは年末とあって、入場券はようやくこの日一般販売がされた。会場の沖縄県立武道館は通常約2700人収容だが、約3000人まで客席を増やした。それでも発売開始から、たった14分で完売した。

 「パレードでも3000人集まった。小さい会場で、入りたくても入れない人の方が多く申し訳ない」。比嘉はちょっと残念そうだが「今までは村田さんの前座から一番目立つメイン。入れずにテレビを見ている人も楽しませたい」と力が入る。

 凱旋試合ながら日本人のジンクスもある。沖縄での世界戦は、81年に具志堅会長がV14に失敗して以来37年ぶり。過去日本人は3戦全敗。比嘉もプロでは初試合、アマも1試合しか経験がない。「ホームでも食事など未知の部分もある」が、ジンクス打破は「過去は気にしない」が比嘉の売り物でもある。

 初挑戦では20人目の全勝奪取も、日本人初のオールKOを達成した。V1戦では沖縄出身で7人目にして初のKO初防衛、日本人5人目にして初のフランス人からの勝利だった。さらに今回は浜田らに並ぶ15連続KOすれば日本タイとなる。20を目指す比嘉には通過点だ。

 大雪や寒さもあり、最大の関門の減量は苦労しているようだ。練習はマススパー1回など軽めもたっぷり汗は流した。元2階級制覇王者相手にも「調子が悪くてもボクが上。KOじゃないとおかしい相手。必ず前半で決めたい」。凱旋KO防衛に絶対の自信を見せた。【河合香】