王者比嘉大吾(22=白井・具志堅スポーツ)が1回KO撃破で、日本記録に並ぶ15連続KO勝利を飾った。元2階級制覇王者で挑戦者の同級9位モイセス・フエンテス(30=メキシコ)を左2発からの右ボディーストレートでダウンを奪取。1回2分32秒、KO勝ちで2度目の防衛に成功し、沖縄で日本人初の世界戦勝利を挙げた。

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 比嘉の完璧で理想的なKO防衛だった。最後は左アッパーで上体を起こして、そこへ右ストレートをボディーに打ち込んだ。このパンチをコンビネーションで出すのはなかなか難しい。しかもこれで試合を決めた。言うことのない試合になった。

 比嘉は攻撃的で、分かりやすく、面白い。ただラッシュでなく、コンビネーションにいいものがあり、一戦ごとに成長している。今はたくさんの世界王者がいる中で、いかに個性を出せるか。比嘉には何よりも攻撃という個性がある。

 今回は地元沖縄、KO記録とプレッシャーがかかった。さらに過去2戦は減量でパニックになったりして、試合前はナーバスだった。いつもと違う場所でもあり、心配だった。序盤はプレッシャーをかけられ、右クロスやカウンターをもらったが、すぐに攻勢に転じて吹き飛ばした。

 15連続KO。それも唯一のデビューからで世界戦を3試合含み、すごい記録で価値あるもの。記録を伸ばしてほしいが、次からは逆にKOを意識しないこと。力まずにスピードでいけば、結果もついてくる。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)