WBC世界スーパーバンタム級2位の亀田和毅(ともき、27=協栄)が、3年ぶりの王座奪回で2階級制覇を達成した。同級1位アビゲイル・メディナ(30=スペイン)に対し、初回から鋭い左ジャブでリード。中盤からは強打に耐えて手数で反撃し、3-0の判定勝ち。兄2人に続く世界に例のない3兄弟2階級制覇で、一家にとって7本目のベルトをつかんだ。

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メディナ選手は本当に良いボクサーやったし、それを和毅がクリアしてくれた。最後の世界戦から3年ちょっと。よう我慢したと思う。3年は長いですよ。周りが長いと感じているんやから、本人はもっと長いと感じていたと思う。なかなかチャンスをあげられなかったのは、自分の力のなさ。世界戦前に引退を報告して、和毅に託したつもりやった。亀田家大復活を達成してくれて、本当にうれしいな。

思い返せば5年前。大毅の試合を発端に13年12月から、ずっと亀田家は日本で試合ができひんかった。あの時は「なんで、できひんの」と思った。ジム移籍も認めてくれず、新しいジムの会長をお願いしても認めてくれへん。どうすんの、という時に和毅は海外に出ていった。ラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナでの指名試合(WBO世界バンタム級タイトルマッチ、初防衛戦)でKO勝ちした。試合視察していた(有名な米プロモーター)アル・ヘイモン氏が「こいつは面白い」と言うて契約を結んでくれた。語学も駆使して和毅はメキシコ、米国で練習や試合をしてきた。いつも自分で道を切り開いてきたから、今回も信じていた。

一方で国内はしんどい時期が続いたね。特にジム(K3 BOX&FIT GYM)経営が大変やったな。三軒茶屋でジムを始めた同じタイミング(14年2月)で国内活動が制限されたから。プロ活動できないジムに会員は集まらない。プロボクサーも育成できないし、興行もできない。ただのフィットネスジムやから大赤字やった。毎月の家賃だけで150万円。2年間、ジム経営だけで億単位を損したな。通帳見たら金ないし。しんどかった。

2年前の8月にジムを閉めた後、協栄ジムの金平会長から連絡があって和毅のために動いてくれた。「大丈夫やで」って言ってくれて選手ライセンスも取れた。自分も大毅もトレーナーライセンスも取れてありがたかったな。前に裁判とか、もめていたジムともう1度再出発というのは、世間にも明るいニュースとして伝わるんじゃないかと思ったし、本当にあれから好転していったな。

老舗、名門の協栄ジムで13人目の世界王者が生まれた。協栄ジムと亀田家が、ようやく日本のボクシング界で活躍できる舞台が整ったと思うよ。和毅にとっては2階級制覇王者になってからが本当のスタートや。このスーパーバンタム級で2、3本のベルトを統一させてあげたい。リング内は和毅に任せて、自分は東京ファイトクラブのプロデューサーをしっかりやるだけ。今は面白いことやるために、手綱を抑えている感じ。来年、乞うご期待。楽しみにしていてください。(亀田興毅)