WBC世界ライトフライ級王者拳四朗(26)は、ジャッジ1人がフルマークの大差判定勝ちで5度目の防衛に成功した。ただ、身長で12・5センチ低い挑戦者フアレスを倒しきれず、試合後は「勝てたのはうれしいけど、反省点も。『倒さな』とあせりすぎた」と猛省した。

「すごく頭が動いて、足も使ってパンチを当てにくかった。怖さはなかったけど、最初から変に合わせてしまった」。観客席からのKOの期待を全身で感じた。中盤は、左右アッパーからのフック。終盤は、カウンターと組み立てを変えても、仕留めきれなかった。

目標には前進した。複数階級制覇が主流だが、拳四朗は「防衛回数を狙いたい」。はっきりと元WBA同級王者具志堅用高の日本選手の連続防衛記録「13」を意識する。リミット48・9キロの戦いは厳しい。毎回、減量法を工夫。今回も体脂肪率7%まで絞った。ギリギリの戦いだが、目標があるから克服できる。

前日計量を終えた後、「これ買ってきたんです」と披露したのがタピオカミルクティー。計量当日の朝に東京・池袋の人気店まで出向き、行列に並んで買ってきたという。世界戦も6度目で「楽しめるようになってきた」。父の寺地会長はそのメンタル面を「鈍感力がすごい」と評する。プレッシャーをものともしない「鈍感力」が、大舞台を重ねて強化されてきた。

次戦について、寺地会長は「まだ予定はないが、春までにやりたい」と話す。昨年に続き今年も世界戦を3試合。このペースでいけば、大目標到達は3年後。守り続けたいベルトを手に、最後にようやく拳四朗らしい笑顔がこぼれた。【実藤健一】

◆拳四朗(けん・しろう)本名・寺地拳四朗。1992年(平4)1月6日、京都府城陽市生まれ。漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウから命名。奈良朱雀高3年でインターハイ準優勝、関大4年で国体優勝。14年8月プロデビュー。15年12月に日本ライトフライ級王者、16年8月に東洋太平洋同級王者。17年5月にWBC同級王座獲得。家族は両親、兄。身長164センチの右ボクサーファイター。