WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(27=BMB)が4回1分8秒TKO勝ちで7度目の防衛に成功した。元WBA同級暫定王者ペタルコリン(フィリピン)に対し3回、ボディー攻めで3度のダウン。4回に左ボディーで仕留めた。来年は3回の防衛戦を予定し節目のV10、さらに海外進出も見据える。寺地の戦績は17勝(10KO)無敗。

   ◇   ◇   ◇

寺地はびびった。3回終了間際にペタルコリンから3度目のダウン。「3回目でさすがに終わったと思ったら、(ラウンド終了の)違うゴングやった。メンタルつえーと思いましたよ」。ゾンビのようにはい上がる挑戦者に驚きながら「どうせ終わるやろ」と4回に左ボディーで仕留めた。

V7の安定王者の真骨頂だった。当初はIBF同級王者フェリックス・アルバラード(ニカラグア)との統一戦が、相手の体調不良により急きょ、1カ月前に対戦相手変更となった。構えもオーソドックスからサウスポーとなったが、寺地は気にもとめない。「気にするのは(トレーナーの)加藤さんなんで。自分は何も」。腹が弱い分析通り、弱点を攻めまくった。

拳四朗に本名の寺地をつけた初の試合で快勝した。海外では「ケン・シロウ」と解釈されるため「しっかり名前をアピールしたい」と踏み切った。さらにボクシング以外の活動をマネジメントする事務所と契約し、年明けに関西ローカルのテレビ番組の収録が決まっていた。負けて王座陥落となればおじゃん。そんな想定はかけらもない。「(テレビ出演は)勝つ前提。負けることなんて考えてなかった」と言い放った。

最高の形で19年を締めくくり、さらなる大きな目標を目指す新年へ展望が開けた。父の寺地永会長によると3回の防衛戦を予定し、年末に節目のV10戦を迎える青写真。東京五輪が開催される夏場は米国西海岸か中国へ、海外進出のプランも上がっているという。

減量苦もない寺地は「どこでやっても同じ。自然にやれば(連続防衛回数)13回は超えられる。僕が13回防衛する姿を見てください!」と猛アピール。その中には、各団体のライトフライ級のベルトを束ねる夢も含んでいる。

その前に「とりあえずメリークリスマスですね」。クリスマスイブは「残念ながら」と男の友人2人で過ごす予定。「おじさんが行くような店に行くでしょうね」。安定王者に君臨し、防衛回数を重ねてもおごらず、変わらない。連続防衛回数13回の元WBA同級王者具志堅用高超えへ、その挑戦権を20年につないだ。【実藤健一】

◆寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年(平4)1月6日、京都府城陽市生まれ。奈良朱雀高から関大に進み国体優勝。14年8月プロデビュー。17年5月にWBC世界ライトフライ級王座獲得。拳四朗は漫画「北斗の拳」の主人公に由来しリングネームにしてきたが今回から本名。父で会長の永氏は元日本ミドル級、東洋太平洋ライトヘビー級王者。身長164・5センチの右ボクサーファイター。