15年に65歳で引退した元プロレスラーの天龍源一郎(70)が引退試合の相手だった新日本プロレスのオカダ・カズチカ(33)と時間無制限のスペシャルトークバトルを行った。

「(オカダは)トークが苦手分野。からしのきいたコメントで追い込んでいく」と自信満々で挑んだが、巧みな話術に翻弄(ほんろう)され、34分43秒でまたしても敗れた。

つえをつきながらの登場だったが、黒のスーツを身にまとい、5年ぶりに元気にリングに上がり、2人で当時を振り返った。オカダの「同じ時代じゃなくて良かった」という発言に怒り、引退試合の相手に指名。パワーボムを食らわせ、練習で成功しなかった技も決めるなど、死力を尽くしたが、最後はレインメーカーで3カウントを取られ、引導を渡された。

「試合中に客席を見渡す余裕を見せられて、勝てないと感じた。怒りをぶつけていく相手としては最高だったし、勝っても負けても悔いはなかった」と当時の心境を明かした。

オカダも天龍の気迫に「新日本ではないオーラだった。天龍さんに1番熱くなってもらおうと、普段使わない技も出した。3カウント取って、僕の手によって終わったんだなと。お客さんの寂しい気持ちも感じた。最高の試合だったし、お互い全盛期の時にやりたかった」とレジェンドをたたえた。

先輩としてこれからのプロレス界をけん引するオカダにアドバイスとエールを送った。「レスラー同士しかわからない威圧感が出てきた。新日のエースとして責任を持って行動してほしいし、業界全体を引っ張っていってほしい」。熱いメッセージを受けたオカダも「天龍さんが飽きない戦いをして、ダメだと言われないように頑張っていかないと」と決意で返した。

76年にプロレスデビューしてから約40年。全日本、SWS、WJプロレス、天龍プロジェクトなどさまざまな団体で活躍してきた。引退後はバラエティータレントとして活動していたが、昨年4月ごろから体調を崩し、小脳梗塞と診断。入退院を経て、現在はトークショーやテレビ出演をするなど、症状は安定しているという。

引退からちょうど5年となったこの日、天龍に縁のあるレスラーたちが集結し、激闘を繰り広げた。「もう5年経ったのかっていう感じ。こういう大会が持てるのは天龍源一郎として幸せ」。久しぶりのリング上での戦いを楽しんだ天龍は、オカダら後輩たちにしっかりと魂を伝承した。