朝倉未来(みくる、28=トライフォース赤坂)が、クレベル・コイケ(31=ボンサイ柔術)に2回1分51秒、三角絞めで敗れ、プロ格闘家として初の一本負けを喫した。相手の得意な寝技に持ち込まれ、意識を失いかけ、レフェリーストップとなった。今後については「引退も含めて考える」と発言。アマチュア時代も含めて約9年。格闘技界に貢献してきた朝倉が、岐路に立たされた。

   ◇   ◇   ◇

「タップする選択はなかった」という朝倉の目から力が抜けていき、続行不可能と判断したレフェリーが試合を止めた。「肘でコーナーに押しつけられた」と右まぶたは大きく腫れ上がり、ぼうぜんと座り込んだ。「組み力は思ったよりなかったので、安心してしまった。結果的に強かったなと」と振り返った。

試合前まで34戦27勝のうち、一本勝ち、KOが25勝というクレベルと、プロで一本負けが1度もなかった朝倉。「理想はテークダウンを取られずに判定勝ち」と予想するも、1回から捕まり、想定外の展開に。何とか回避し、その後の打撃でダメージを与えたが、KOまで追い込めず、回復の時間を与えてしまった。「完全に戦意喪失していないと危ないと思っていかなかった」。2回も相手の細かい蹴りでコーナーに詰め寄られると、再び寝技に持ち込まれ、持ち味の強い打撃を発揮できずに終わった。

練習で体はボロボロだった。筋肉痛で悪夢を見るほど眠れない日が続いた。「人生最大に追い込んだ」試合で敗れ、今後について「引退も含め考える」と明かした。描いていた幻想が打ち砕かれ「ここまでなんだな」と感じたという。この日バンタム級トーナメントで勝利した弟の海は「僕としてはまだやって欲しい」と現役続行を願った。

「ここで負けて、格闘技を今後やっていく意味があるのか」。強気な発言の多い朝倉から、後ろ向きな言葉が次々と語られた。来月には29歳になる。以前から「30歳で引退」と語っていた朝倉。身を引く覚悟をしかねないほどの完敗だった。【松熊洋介】

RIZIN全試合詳細はこちら―>