新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者鷹木信悟(39)が、22年のリングも鷹木色に染める。4日の東京ドーム大会でオカダ・カズチカを相手に4度目の防衛戦に挑む。

ザ・ドラゴンには、勝利の秘策がある。それは、オカダを怒らせること。「普段すかしているあいつを怒らせて、熱くさせて、こっちの激烈な世界に引きずり込む。そうすれば俺も熱くなって無敵になれる」。本気で体をぶつけあえばあうほど、自身のペースで試合ができる。

強靱(きょうじん)な体力と負けん気の強さから、元気ハツラツおじさんと称される。元気の源は、プロレスが大好きだということ。「新日本プロレスだって高いお金をとる。見に来てくれるファンには、人生に影響を与えるくらいのものを見せなければならない」と、プロの在り方を断言する。

学生時代の苦悩が、今につながっている。野球に熱中した小学生時代。同級生が15人もいた強豪チームだったこともあり、最後までレギュラーにはなれなかった。中2から高校卒業まで続けた柔道でも、目立った成績を残すことはできず。プロデビューした後も「本当に大丈夫だろうか」と疑心暗鬼だった。だが、それがよかった。「アマチュア時代に大した結果が残せなかったからこそ、悔いが残らないようにやりきろうという思いがあって、何事にも全力で取り組んだ」。今でも、週6日のジム通いで自分を追い込む毎日だ。

21年はプロレス大賞MVPを受賞した。自分の能力を過信せずここまでやってきたからこそ、「受賞は当たり前」「新人だった頃から鷹木はいずれそうなると思っていた」という、ファンやマスコミからの声がうれしかった。「自分自身にはそういう実感はなかったので…」。そう感慨深げに18年の歩みを振り返る。

身近な人からの声援も力になった。12月上旬、恩師であるアニマル浜口氏の浜口道場を訪れた。移転したばかりでまだ真新しい道場の壁には、たくさんのメッセージが書かれていた。「鷹木が来るからって、浜口会長が道場生と一緒にやってくれたそうで」。ずらりと並ぶ「気合だー!」の文字に、背中を押された。

11月には不惑の40歳を迎える。回復力の衰えを感じ、ストレッチやヨガなどメンテナンスに時間を費やすことが多くなった。それでも「IWGP世界ヘビーを取った。MVPを取った。22年にはもう1個ほしいよね」と貪欲さは変わらない。少年野球の時の背番号は22番。「ぞろ目が大好き」と話す鷹木が、22年に新たな伝説を作る。【勝部晃多】