WBO女子世界アトム級タイトルマッチ10回戦は、挑戦者の鈴木菜々江(29=シュウ)が王座奪取に成功した。同級王者岩川美花(38=姫路木下)と10回を戦い抜き、2-1の判定勝利で世界ベルトをつかんだ。20年9月、1-2の判定負け。約1年5カ月ぶりのダイレクトリマッチを制し、大号泣で喜びに浸った。

挑戦者らしく、距離を詰めて打ち合いに出た鈴木が最後まで押し通した。時折、サウスポーに切り替えて攻める王者に対し、負けじと前に出てボディーブローをねじ込んだ。7回以降も手数を減らすことなく攻め込み、2-1の判定勝利。リベンジとなる判定結果を知った瞬間、人目をはばからず、うれし涙を流した。

試合終了直後はセコンド陣に謝罪の言葉を続けていた鈴木は判定結果を聞いて驚いたと振り返り「負けたと思っていたので、謝ってしまいました」と世界王座獲得を信じられない様子。「人としても格好良いボクサーになりたい。そこらへんは足りないので」と世界王者としての課題を挙げた。

岩川戦に備え、試合までの3カ月間で200回以上のスパーリングと消化。所属ジムの松岡修会長は「練習だけは人一倍やる選手。スタミナはあるので、くっついて(戦う)作戦でした。(創立13年の)うちみたいなジムから世界王者が出てうれしい」と感慨に浸っていた。