「リトルキング」が再び歩み始めた-。元サッカー日本代表FWカズの次男で総合格闘家の三浦孝太(20)が、昨年大みそか以来となるプロ2戦目を1回一本勝ちで飾った。タイのブンチュアイ(22)と総合特別ルール3分3回で対戦。総合初戦となった相手をグラウンドの展開で圧倒し、最後は1分54秒、腕ひしぎ逆十字固めでタップアウトを奪った。試合後は「格闘技界の若きキングになる」と宣言した。

必死に押し隠していたが、重圧は相当なものだった。「1週間前から想像以上に負けと欠場が怖かった」。5月は首ヘルニアで、7月末はコロナ感染により大会直前で欠場を余儀なくされた。8月にタイでエキシビション戦を経験したが公式戦のリングは昨年大みそか以来9カ月ぶり。自信を失いかけたこともあった。

そんなプレッシャーをはね返せたのはカズの支えが大きかった。いつも「頑張れ」と背中を押してくれる父。この日はJFLの試合のために会場には来られなかったが、三浦は父が所属していたV川崎時代のウインドブレーカーを着用し、そばで力を感じていた。勝利後は右手人さし指を掲げる“カズポーズ”も決めた。「親の七光とか2世とか言われることを全然いやだと思わない。むしろ素晴らしいと思っている」。そう、誇らしげに胸を張った。

ただの「2戦目」ではなかった。格闘技ファンへ、自身の存在をもう1度アピールする戦い。自身で掲げたその目標を、きっちりとクリアしてみせた。次の目標は大みそか。「大きい舞台の方が賛否も分かれてやる気になる」と言い切った。デビュー戦を勝利で飾った始まりの地で、リスタートを切った。【勝部晃多】