プロボクシング元IBF世界スーパーバンタム級王者岩佐亮佑(33=セレス)が6日、現役引退を正式表明した。同日に千葉・柏市の所属ジムで会見。ラストマッチは4月15日、韓国・仁川でフェザー級転向2戦目として臨んだアマ全米王者ジャフェスリー・ラミド(23=米国)戦の判定負けとなり「試合をやって、しっかり完敗してやり切ったつもり。満足なので今回をもちまして引退としていただきたいなと思います」とすっきりした表情で完全燃焼を強調した。

第2の人生について「好きなことを始めたい。好きなことに向けて人生を突っ走りたい。車が大好きなので、その業界で」と車関係の会社を起業する方針を示した。またプロボクサーのセカンドキャリアの指南や活躍できる場所の提供などをイメージし「引退した後のモチベーションの変え方、切り替え方のアドバイスもできればいいなと。それがボクシング界への恩返しとして考えている」との構想を明かした。

ジムの運営やトレーナー業など選手育成に関して「僕はやる方が好きだし、教える情熱がまだない。1つの道ではあるが、自分の情熱次第」と言うにとどめたが、セレスジムのアドバイザー的な存在として活動する意欲を示した。師匠のセレス小林会長は「一から構えから教えた選手が高校でボクシングやらせてプロに入っても日本、東洋太平洋、世界と取ってくれて、ありがたかった。無事にリングから降ろすことができて良かったという思いがある。ジム開設20年ですが、ほぼ岩佐との思い出で、歩んできた道。思い出だらけ」と弟子に感謝していた。

中学2年の時、セレスジムでボクシングをはじめた岩佐は習志野高時代に選抜、総体、国体の高校3冠を達成。08年8月に5回TKO勝ちでプロデビューから8連勝で当時の日本バンタム級王者山中慎介に挑戦。しかし10回TKO負けでプロ初黒星を喫し「自分の中でボクシングの考えた方が変わり、粘り強さ、耐えることを学んだ」と振り返る。

再起して11年に日本同級王座を獲得。17年にIBF世界スーパーバンタム級王者小国以載を6回TKO撃破し、待望の世界王座奪取に成功した。18年8月に2度目防衛戦に敗れて王座陥落したものの、19年12月、IBF世界同級暫定王座決定戦(米ニューヨーク)でマーロン・タパレス(フィリピン)に11回TKO勝利し、王座返り咲きに成功。「本当に心底、うれしかったのはタパレス戦。ニューヨークでKOで勝てたのはうれしかった」と印象に残る1戦として挙げた。

21年4月にはウズベキスタンでWBAスーパー、IBF世界同級統一王者だったムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)で王座統一戦に臨み、5回TKO負けして王座統一に失敗し、王座陥落したが、海外マッチを多く経験した世界王者でもあった。

今年4月には結婚も発表しており、7月28日には第1子が誕生予定となっている。