プロボクシングWBA世界バンタム級王者井上拓真(28=大橋)が5月6日に東京ドームで拳を交える挑戦者の同級1位石田匠(井岡)との一戦へ向けて「完封」を宣言した。

26日、東京・江東区のWOWOW放送局で行われたエキサイトマッチSPの収録(4月15日、午後9時からWOWOWライブで放送)に父真吾トレーナー(52)とともにゲスト参加。2月24日に東京・両国国技館で元IBF世界スーパーフライ級王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)を9回KO撃破した初防衛戦を振り返った。

初めてWOWOW収録に参加した井上は「ちゃんと(コメント)できたのか不安なところ」と苦笑いしつつ、石田との2度目防衛戦に向けての話題になると、一気に表情が引き締まった。試合間隔は約2カ月半という短いスパンではあるものの、約1週間のオフを経てジムワークを再開。現在はバンタム級では長身(172センチ)の石田を想定し、身長175センチで同門の日本フェザー級王者松本圭佑(24=大橋)とスパーリングを続けている。

石田戦の発表会見で「バチバチにいく」と宣言すると、対する石田からも数日後に設定された発表会見で「ガンガンいく」と応じられた。序盤から激しい打ち合いも予想できそうな“舌戦”となっている。井上は「望むところ。中間距離では自分の方が勝っている。どんな形であれ、必ず勝つ。(パンチは)当たらないと意味がない。しっかり対応して何もさせないよ、という感じ」と王者らしい風格を漂わせた。

同興行のメインイベントで4団体統一スーパーバンタム級王者の兄尚弥(30=大橋)がWBC同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)との防衛戦を控える。井上兄弟の同時世界戦は19年11月以来、約4年半ぶり。前回は自らがWBC世界同級正規王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)に判定負けし、兄弟同時防衛成功とならなかった悔しい思いが胸にある。井上は「(自らの勝利が)絶対条件なので、必ず。勝って良いバトンを兄にわたしたい」と言葉に力を込めた。【藤中栄二】