WBOアジア・パシフィック・スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦で、同級3位大橋哲朗(25=真正)が新王者となった。世界ランカーの同級王者中川健太(38=三迫)に挑戦し、10回2分48秒、TKO勝利でベルトを獲得。リング禍による右硬膜下血腫で2月2日に死去した日本ランカー穴口一輝さんに向け「大事な親友が亡くなり絶対に勝つと決めて死に物狂い頑張ってきました。そのおかげで強くなれた。一輝、やったぞ!」と絶叫した。

世界ランキングでWBC、WBOで2位、WBAでも4位に入る中川と競り合った。約3年前、フィリピン合宿で切磋琢磨(せっさたくま)した大先輩から10回に左ストレートでダウンを奪った。何とか立ち上がってきた中川に対し、ロープに追い込んで連打の嵐。レフェリーストップによるTKO勝利を決めた。

前日計量は穴口さんのTシャツ、ジャージーで出席。試合のトランクスにも穴口さんの名前を刺しゅうしていた大橋は「亡き親友のおかげ。プライベートでは一緒にアホして、ボクシングでは人一倍、モチベーションが高い選手でした。そういう選手を失ったのもボクシングの怖さ。それを肝に銘じ、自分のボクシング人生を1日も無駄にしたくない。死に物狂いで練習し、もっと強い選手になって。俺は『一輝、俺は世界王者になったぞ』と言えるように頑張りたい」と言葉を詰まらせ、涙を流しながらWBOアジア・パシフィック王座ベルトを巻いた。