8年越しの悲願を現実にする。ボクシングのWBA世界バンタム級1位石田匠(しょう、32=井岡)が19日、大阪市内の所属ジムで練習を公開した。

5月6日に東京ドームで同級王者井上拓真(28=大橋)に挑む。石田にとって17年10月に英国カーディフで挑んで以来、2度目の世界挑戦。「必ず世界王者になる。自信しかない」と宣言した。

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大勢の報道陣が詰めかけた公開練習で、石田のテンションはアゲアゲだった。「こんなに(報道陣が)来てもらったことはない。まあ、自分に興味ないでしょうけどね。でも勝ちますよ。必ず世界王者になります!」と力強く宣言した。

8年越しの夢をかなえる。17年10月28日に英国カーディフでWBA世界スーパーフライ級王者カリッド・ヤファイ(英国)に挑み、善戦も0-3判定負けした。「7年前はめちゃくちゃ弱かった。自分は成長した。今思えば別人。メンタルが強くなって自分に自信がある。何も怖くない。どんなボクシングしても負けない」と言い放った。

実力は折り紙付きだ。21年12月に現4階級制覇王者の田中恒成(畑中)に敗れはしたが、判定1-2とわずかな差だった。難敵を相手にキャリアを積み上げてきた。「負けた経験も生きている。今回は今までにないぐらい、きつい練習で追い込んできた。(キャリアの)集大成として、ここで世界王者になる」。

挑戦者らしく、ガンガンに攻め抜くプランも固めた。「自分からいく、倒しにいくことを意識してきた。自分からアグレッシブにいくしかない。インパクトを残して勝ちたい」。フィリピンのランカーを相手に115ラウンドのスパーリングを積み重ねる。あらゆる展開を想定し、倒しきるボクシングを磨いてきた。

会場の東京ドームも「リングに上がればドームだろうが、後楽園ホールだろうが同じ」。そう言い切れる鋼のメンタルを築き上げてきた。「世界王者になって活躍したい。関西を盛り上げたい。本気でそう思ってます」。血に飢えた野獣のように襲いかかる準備は整ってきた。【実藤健一】

◆石田匠(いしだ・しょう)1991年(平3)11月17日、大阪・堺市生まれ。小学6年から現4階級制覇王者の井岡一翔にあこがれ、井岡ジムに通う。高校2年時に国体で優勝し09年2月にプロデビュー。14年8月、日本スーパーフライ級王座を獲得し、5度の防衛。17年10月に敵地で世界初挑戦も判定負け。21年12月に田中恒成に敗れるも判定1-2の大接戦を演じた。23年6月にWBA世界バンタム級の挑戦者決定戦に勝利。身長173センチの右ボクサーファイター。戦績は34勝(17KO)3敗。