メインイベントでONEフライ級キックボクシング暫定世界王座決定戦(3分5回)が行われ、この日で引退する武尊(34=team VASILEUS)が1度KO負けしている宿敵ロッタン・ジットムアンノン(28=タイ)に5回2分22秒TKO勝ち。世界のベルトを手にし、有終のバック宙で現役生活を締めくくった。
以下、武尊とチャトリCEOの試合後会見一問一答。
-チャトリCEOへ、本日の武尊選手の試合をどう思いますか
チャトリ「完璧なキャリアの締めくくりだったと思う
。今日見た武尊選手は、彼の全キャリアの中で最も強い、最も仕上がった武尊選手だったと思う」
-武尊選手、試合を終えての率直な感想は
「いやー本当にうれしいのひと言しかないですけど、34歳、今の年まで現役やると思ってなかったし、体的にももたないなと思ってたんですけど、本当にたくさんの人たちの支えのおかげで、ここまで格闘家としてやってこられて。最後にチャトリがタイトルマッチを組んでくれて、そのおかげでこの引退試合のモチベーションがやっぱり、めちゃくちゃ変わったんで。本当にONEのスタッフ、チャトリ、みんなに本当に感謝ですね。現役最後、この試合ができて、本当に幸せです。ありがとうございます」
-今後の目標や展望を教えてもらえますか
「まあ現役生活は今日で終わりですけど、この格闘技の熱だったりを止めたくない。魔裟斗さんが盛り上げた日本格闘技界、魔裟斗さんが引退して、一回盛り下がって。僕がK-1目指して東京に出たけど、K-1が一回消滅しちゃって。テレビとか表舞台から格闘技がなくなっちゃって。やっぱ最初、苦しい時期を過ごしたんで。僕に憧れて格闘技を始めてくれた子供たちとか、これからのファイターに、ちゃんと同じようにこの盛り上がる舞台を残してあげたい。次の格闘技界を引っ張る選手が出てくるまで、K-1とかRISEとか、いろんな団体がありますけど、どの団体も一緒に盛り上げたいと思っているので。できることがあるので、僕も協力するんで。これから盛り上げ続けていくことをやってやっていけたらなって思っています」
-最大の勝因は自分でどういうふうに分析されていますか
「ONEに来て、自分の弱さをちゃんと認識できた。今までの戦いって、ずっと勝ち続けてた時って、本当に自分が負けない、絶対に勝てると思ってやってたんですけど、ONEに来て、こんなに弱いところがあるんだなとか、いろいろ自分で発見できて。それをこの最後の試合で、今までONEで感じた自分の弱さだったり、それこそ体もどんどん壊れていくところもあったり、そういう自分の弱い部分をちゃんと認識した上で、それに合った自分の戦いだったり、体作りっていうのを最後にバチッとはめられたかなと思います」
-弱い自分を克服できたということですか
「克服っていうか、弱点とかはもちろんそうなんですけど、今までできたことができなかったりとか、そういうことがいっぱいあって。だけど今までと同じようなことをしちゃってたので。それで壊れちゃったりした部分もあったりしたので。そこを自分が認識して、やり方を変えたり。難しいですけど。修正…最後だったからできたっていうのはあるんですけど。本当に今日まで体を全部使い切って、壊れてもいいつもりで追い込みもやったし。言葉が難しいですけど(今回は)それ(自分の今の体に合った練習、調整)ができたのが良かったかな」
-これまでの格闘技人生で厳しい道のりもあったと思いますが、最後に報われてベストバウトを戦うことができた気持ちは
「うーん、なんかまだちょっと実感が。自分の試合をまだ見てないんで、まだ実感がないんですけど。試合前、弱音を吐きたくないんで言わなかったんですけど毎日、また倒される、自分が失神してる夢とか、足の骨折れてる夢とか、毎日見てて。本当に怖かったんですよ。みんなの期待を裏切っちゃうなぁとか。だからなんかもう、良かった、生きて帰って良かったなって。そんな感じです」
-チャトリCEO、暫定世界王者になった武尊選手は、もう1試合戦いませんか? スーパーレックへのリベンジとか
チャトリ「さっきも言ったように、今夜、我々は最高の武尊を見たんだ。ベルトを獲得し、ロッタンをKOした。私が日本のファンにこれからもずっと思い出してほしいのは、この武尊の姿だ。世界中のファンにも。彼は多くの逆境を乗り越えてきた。私は武尊に愛とリスペクトを持っている」
-ロッタン選手についてはどう思っていますか
チャトリ「ロッタンの心は傷ついていると思うので、私も悲しい。でも彼は世界王者クラスの選手。トレーニングし、学び、成長し、もう一度ハングリーになれればまた世界の頂点に立つことができると思う。我々みんなそうだが、快適すぎる環境にいると衰えにつながることがある」
-リング上で最後にマイクの音声が切れてしまって、地声で話されていました。どのようなことを話していたのですか
「ちょっと思い出せないですけど、本当に僕って、格闘技センスなかったんですよ。小学校から格闘技始めて本当に勝てなかったし。運動神経もほんと普通なんですよ。だけど、こういうふうに強くなれたし、結果も残せたんで、夢を持つ人に絶対諦めてほしくないなって。みんな(自分のことを)天才とかエリートって思ってると思うんですけど、全然そうじゃなくて。ほんと勝てなかったんで。それを伝えたかったのと、あとは今、格闘技界、いろいろ団体の壁だったり、いろいろ問題があったりとかして、一回、盛り下がりそうだなみたいになってて。やっぱり、それがすごい僕的にはつらかったし、僕が引退することで、魔裟斗さんがやめた後みたいにK-1がなくなったりとか、こういうONEみたいな大きな舞台が、日本からなくなっちゃうっていうのはすごい悲しいことなんで。そういう次のファイターが出てくるまで、ファンの人たちもみんな一緒に格闘技界を盛り上げましょうっていう。
いろんな団体、K-1もRISEも、KNOCK OUTも、みんな、いろんな団体、一緒に格闘技界を盛り上げましょうっていうのを言ってた感じです」
-試合中、殴ってこいという笑顔が出ていました。戦っている最中に楽しいという感覚はありましたか
「楽しかったですけど、なんか殴り合いたいなっていうか(笑い)。“勝ちたい”ももちろんあるんですけど、格闘家人生、小学校から始めて30年くらいやってきて、この5ラウンドで終わっちゃうんだと思ったら、勝ちたいよりロッタンのパンチをもっともらっておきたいなって(笑い)。なんかそれと戦ってましたね。
-昨日、那須川天心選手のインタビュー動画は見られましたか。試合前に何か感じるものはありましたか
「何て言ってたかな。でも、本当、あんまりああいうインタビューで僕のことちゃんと、ああいうふうにしゃべってくれたことはなかったと思うので、応援してくれたのもうれしかったし、最後、勝って欲しいって言ってくれたのも、本当に戦った戦友としてうれしかったし。天心選手もこれからボクシングで活躍していくと思うので、ボクシング、キックボクシング、ムエタイ関係なくみんなで、これから盛り上げたいなと思っています」
-2ラウンドに2回ダウンを奪って、そのあとかなりロッタンが反撃してきて、ノーガードでかなり打たれたシーンがあったと思うんですが、前回KOされた武尊が今回立っていられた要因は
「いろんな要因はあるし、戦い方もすごい研究したんで。本当にロッタン選手って、ブンブン振り回してるより、すごい達人みたいな動きをするんで。それを前回の試合ですごい感じて。それで勉強できたっていうのもあるし。前回、言い訳したくないですけど、本当に実際戦えるような状態ではなかったと思うので。胸骨と肋骨(ろっこつ)が折れて、本当に脳では頭ガードしなきゃと思うんですけど、おなか守らなきゃって自然と動いちゃったのもあったし。今日は絶対ロッタン選手のパンチが強いとか効くっていうのも分かった上で、ちゃんともらったんで耐えられたのもあるし。最後なのでみんなの期待は裏切れないし。死んでも倒れるかと思って、パンチもらいました」
-今日でやりきりましたか? “もう一度”みたいなものが盛り上がっていることはないですか
「やれるならやりたいですけど。本当に今日このリングに立てるかどうかもわからないぐらい、僕の中では体がもつのかなっていう不安のほうが大きくて。もう今日で使い切ったかなっていう感じです」
-武尊さんにとって、格闘技、キックボクシングとはどういうものでしたか
「僕は格闘技と出会ってなかったら、本当にろくでもない人生だったなって思うし。こんな最高な人生にしてくれたのは格闘技のおかげなんで、格闘技に感謝ですね。感謝しかないです」
-殴り合いながらも、しっかりカーフを蹴ったり、落ち着いていましたか、それとも興奮してましたか
「頑張って興奮を抑えていましたね。本当に丁寧に丁寧にやろうという気もあるんですけど、どうしても我慢できなくて、殴り合いに行っちゃうんですよ。(今回は)試合直前までちゃんと丁寧に削って、自分が強かったときの戦い方を思い出して、ロッタンだから思い切り殴り合いたいけど“丁寧に削ってから殴って”を意識しましたね。みんなに、今日来てくれた人もそうですけど、応援してくれてた人たちに勝ちを届けたかったので。このベルトを届けたかったので。自分と戦いました」
-明日からは選手として練習しなくてもいい日々が始まります
「そうですね、いや、ジムには行くと思います。だけど、体もいろいろと壊れているところもあるので、それもちょっと治して、私生活に支障が出ない程度に格闘技をやろうかなと思います」
-最後にチャトリCEOからのコメントを
チャトリ「日本のすべての皆様に感謝します。フジテレビを見て、U-NEXTに登録してください。これが日本の格闘技の最大の時代の始まりです。武尊や、今日出場してくれたすべての格闘家に感謝したい。真の武士道精神を表現するためにはサムライたちが必要だったから。今夜、我々は日本の素晴らしい歴史をたたえ、日本のヒーローたちをたたえることができたと思う。我々は日本全体に火をつけることができたと思う」

