大関琴奨菊(31=佐渡ケ嶽)が、横綱日馬富士(31=伊勢ケ浜)も倒した。

 左をこじ入れて、胸を合わせて前に出る。土俵際までがぶって、最後は右から突き落とし。大関以下では91年初場所の大関霧島以来となる横綱3連破に、結びの一番前にもかかわらず、座布団が舞った。

 支度部屋に戻ると、床山と恒例のグータッチの儀式。そして「ヨシッ」と一言、言葉を発した。「やるべきことをしっかりやって、出し切りました。自分を信じて行けた」。ただ1人の全勝を、この日も守った。

 横綱3連戦を乗り越えて、残るは3日。06年初場所の栃東以来、10年ぶりとなる日本出身力士の優勝がいよいよ見えてきた。だが「(勝利の女神が)振り向くか、振り向かないかは分からない。一生懸命やって、悔いが残らないようにやるだけです」。心はいたって冷静だった。