大関豪栄道(31=境川)がトップタイで中日を折り返した。不戦敗を含む4連敗中だった小結玉鷲を、立ち合いから一気に寄り切り、1敗を守った。13日目の22日に子供向けに初の自伝を出版。3横綱2大関不在の中、土俵内外で奮戦し、存在感を見せつける。

 しょっぱさのかけらもない。豪栄道が連敗中だった玉鷲を、立ち合いからもろ差しであっという間に寄り切った。「しっかり受け止めることだけ考えた。中に入りたかった」。全勝優勝した昨年秋場所は右四つから「理想」と自画自賛する内容で寄り切った。会心具合は、1年前の再現だ。

 優勝争いを引っ張り、土俵外でも相撲普及に一役買う。小学校からの半生をつづった初の自伝本「すもう道まっしぐら!」が集英社みらい文庫編集部から出版される。同文庫は男子向けが中心。豪栄道が1年前の秋場所で全勝優勝を飾ると、当時不在だった「日本人横綱誕生という期待をこめて」(担当者)白羽の矢を立てた。

 豪栄道は「何で俺なんかなと思った」と照れながら「小学生向けだし、相撲に興味をもってもらえれば意味があるかな。しょっぱい成績じゃ寒い本になる。いい相撲を取って、成績をちゃんと残さないとね」。発売日は終盤13日目。その時、2度目の賜杯が目前に迫っていれば、最高のタイミングだ。「まだ7日ある。自分のやることをしっかり決めて、集中したい」。子どものお手本になるような、一本気な姿を見せつける。【加藤裕一】

 ▼八角理事長(元横綱北勝海)のコメント

 「この2日間だけを見れば豪栄道が優勝争いを引っ張る感じだが(それまでを含め)相撲内容を見るとそう感じさせない。張り差しも、下位にはごまかせても上位にはどうか。後半戦に横綱、大関が良くなることを期待したい」。

 ▼幕内後半戦の二所ノ関審判長(元大関若嶋津)のコメント

 「豪栄道はいっぺんに持っていく相撲で良くなってきた。日馬富士はまだ1人横綱の責任感で硬さが出ている。ただ3敗も優勝圏内。横綱、大関が頑張ってほしい」。