大相撲の元横綱日馬富士関の暴行事件を受け、日本相撲協会は21日、東京都墨田区の両国国技館で再発防止に向けた研修会を開き、暴力根絶へ意思統一を図った。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「何げない気持ちでやった暴力が、組織を揺るがすようなはめになってしまう」と厳しく指摘し、自覚ある行動を訴えた。非公開の発言を春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)が明らかにした。

 研修会は力士、親方ら全協会員が対象で、約1000人が参加。公開された冒頭部分で理事長は「こういう問題が起こってしまったことについて大変申し訳なく思っている」と謝罪した。11月下旬にも十両以上の力士を対象に同様の講話を実施した。

 暴行現場に同席し、20日の臨時理事会で減給処分を受けた横綱白鵬は終了後、「改めて暴力はいけないという認識を、私自身もそうですし、若い力士も持ったんじゃないか。頑張っていくだけです」と述べた。処分についてはコメントしなかった。

 横綱稀勢の里は「自覚を持って、社会人としてしっかりした行動をしていかないといけない」と表情を引き締めた。

 白鵬と同じく同席して減給処分を受けた横綱鶴竜や、事件の被害者である平幕貴ノ岩関の師匠、貴乃花親方(元横綱)も出席した。

 暴行事件を調査する危機管理委員会は20日に公表した報告書で「指導のためであれば暴力も容認されるという意識が残存していたとの見方を否定することはできない。相撲界全体の意識を変革するよう努めるべきである」と提言していた。