日本相撲協会は1月31日、大相撲春場所(3月11日初日、エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議を開き、貴公俊(たかよしとし、20=貴乃花)の新十両昇進を決めた。同じ部屋には、双子で弟の十両貴源治がおり、史上初の双子関取が誕生した。横綱白鵬の内弟子の炎鵬(えんほう、23=宮城野)も新十両昇進が決まった。再十両は矢後(23=尾車)、照強(23=伊勢ケ浜)、翔猿(25=追手風)、志摩ノ海(28=木瀬)、明瀬山(32=木瀬)の5人。

 東京・両国国技館での記者会見。貴公俊は終始、緊張した表情で、隣にいる貴乃花親方(元横綱)に見守られながら、言葉を選ぶように話した。初土俵から5年で関取になり「うれしいのが3割」と控えめ。むしろ「来場所から(取組が)15日間になるので今までよりも頑張らないと、という気持ちがあります」と気を引き締めた。史上初の双子関取。昨年の夏場所で新十両に昇進した弟の貴源治に先を越されて「うれしさと悔しさがあった」と複雑な心境があり、「毎場所、毎場所思っていた」と常に追いつくことを考えてきた。

 緊張している弟子とは逆に終始、笑顔だった貴乃花親方。貴公俊の受け答えする姿に「しっかり言っているなと、われながら感心してました」と言い、笑いを誘った。そして「相撲未経験で入門して5年でよく上がれたな」と感心。弟子の未来像については「歴代の横綱、大関が関取衆相手に何十番も、1時間、2時間と稽古した。ああいう伝統を今後できるように」と大きな期待をかけた。

 春場所には、元横綱日馬富士関の傷害事件の被害者で、兄弟子の十両貴ノ岩も出場予定。「部屋全体を盛り上げられるよう」と再起を狙う兄弟子、顔のそっくりな弟と共に高みを目指す。【佐々木隆史】