日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、弟子に暴力を振るうなど不適切な指導があった中川親方(元前頭旭里)の懲戒処分について、降格(委員から平年寄へと2階級の降格)にすると発表した。それに伴い、中川部屋を閉鎖することも発表した。

協会発表によると、中川親方は3人の弟子に対して暴力を働き、暴言を吐くなどしたという。弟子Aに対しては2月ごろに、食事をこぼさずにはこぶよう注意した際、顔面中央付近を右手拳で1回殴打した。

3月の春場所中には、宿舎に届いた荷物を中川部屋へ郵送する手配に不手際があったとして、あぐらで座っていた弟子Bの背中を1回蹴り、左顔面を左平手で1回たたいたという。また同じ春場所中に、タクシーで宿舎へ向かう際に居眠りした弟子Bに立腹し、宿舎に戻った後に正座をさせて説教しながら、腹を3回蹴り、胸部を手拳で2回殴打したという。

さらには去年の夏ごろ、出稽古から戻ってあいさつをした弟子Cに対し、浴衣の帯の結び方を注意した際に左こめかみ付近を手拳で1回殴打したという。3人はいずれもケガはなかったが、1月ごろから3月ごろの間、3人の弟子に対して稽古中か否かにかかわらず、日常的に暴言を繰り返したという。

協会から事実関係の調査と処分意見の答申を委嘱されたコンプライアンス委員会は、師匠の暴力は責任重大であり、部屋を運営させるべきではないと指摘。一方で暴力の際に道具は使用しておらず、ケガもなく、中川親方が深く反省しており、被害を受けた弟子も同親方の謝罪を受け入れて厳罰を望んでいないことから、降格の懲戒処分が妥当との意見を八角理事長(元横綱北勝海)に答申し、この日の臨時理事会で処分が決定した。