協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)が新大関の朝乃山(26=高砂)に、横綱の座をつかむチャンス、とハッパをかけた。

報道陣の電話取材に対応。前日、今場所初黒星を喫しながら、この日は平幕の輝(26=高田川)を危なげなく下し10勝目を挙げた朝乃山に対し「本人は(2桁勝利を)意識してないのでは。ここまで来たら(狙うのは)優勝だろう。欲をバンバン出してほしい。これで安心しちゃいけない」と、大関の勝ち越しとも言われる10勝到達を11日目に果たしても、さらなる星の積み重ねに期待した。

さらに、大関昇進時から「もう1つ上の番付を目指す」と語っている朝乃山について、自身の新大関時の心境を重ね合わせて語った。「自分の時は『もう1つ上(横綱)がある』なんて、とてもじゃないが気になかった。大関の立場を守るんだというね」。その上で朝乃山には「今(横綱昇進の)チャンスがあり、時代の代わり目にいるのが朝乃山。それはモノにしてほしい。欲を出して、もう1つ上を目指してほしい」と、貪欲さを求めた。

そう語った後、全勝の横綱白鵬(35=宮城野)が敗れ、1敗で白鵬、朝乃山と幕尻の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が並んだ。今場所、朝乃山が優勝すれば、来場所は綱とりになる。大関2場所通過で年内に横綱昇進ともなれば、12月に停年を迎える師匠の高砂親方(元大関朝潮)へのこれ以上ない恩返しになる。