西十両11枚目千代の国(30=九重)が、3度目の十両優勝を飾った。13勝目を挙げて、来場所の返り入幕にも前進した。

若元春が立ち合いで右にずれたが、全く慌てなかった。体勢を立て直せない相手をすぐに左から突き落とし。取組後のリモート取材では「(変化は)びっくりしたけど良かった。ちょっと緊張していたけど集中できた」と、大きく息を吐いた。

左膝複合靱帯(じんたい)の損傷から復帰し、幕内の舞台も見えてきた。最高位は前頭筆頭。古風な雰囲気で、好調の要因についても「気負わずに1日一番集中できている」と多くは語らないが、言葉には実感がこもっている。場所前には先代九重親方(元横綱千代の富士)の優勝額が、JR両国駅に設置された。先代師匠には「『おかげさまで』という言葉は伝えたい」と、感謝の言葉を伝えるという。1年半ぶりの幕内復帰を手中に収めたい今場所最後の一番に向けて「あと1日取り切ることだけ考える」と静かに意気込んだ。