三役に復帰した小結照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、豪快な“クレーン”で勝ち越した。小兵の翔猿にもろ差しを許したが「動きを止めて強引にいこう」と狙い通りの展開。相手の両腕を抱えてクレーン車のように持ち上げ、そのままつり出した。2日間黒星が続いていたが「1日一番なので、次の日に集中して頑張る、それだけです」と気持ちを切り替えていた。

役力士としては大関だった17年夏場所以来の勝ち越しとなった。大関返り咲きへ「とりあえず今場所は2桁勝ちたい」。昇進目安は三役で3場所33勝。大関とりの起点に位置づける。

先場所は古傷の左膝を痛めて13日目から休場した。今場所も終盤戦に向けて体調面が懸念されるものの、NHKのインタビューでは「心配してくれてありがとうございます」と笑みを浮かべ、余裕を感じさせた。「土俵に上がったら膝どうのこうのは関係ない。忘れてやろうと思っている」。一方で相手をつり上げる相撲は膝に負担がかかるだけに「悪いクセ」と反省する。トップの2人とは1差。貴景勝との直接対決が残されているだけに、まだまだ優勝圏内だが「意識はしていない」と淡々としていた。