日本相撲協会は7日、東京・両国国技館の土俵周りにて、「土俵上の応急対応措置講習会」を開催した。講習会には審判部や警備担当の親方衆ら約60人が参加。NPO法人スポーツセーフティージャパンの佐保豊代表理事を講師として招き、約1時間行われた。

電話取材に応じた春日野警備本部長(元関脇栃乃和歌)は、講習会を振り返り「みんなこわごわと搬送しないといけないんじゃないかというのがあったけど、あえて迅速に適切にやれば、早く専門の医師に任すという意味では必要なのではないかと。思い切って1分でも早く専門家に判断してもらうように迅速な対応が必要なんだなというのはありました」と、より迅速な対応が必要であることを感じたという。

講習会では「負傷者を担架に乗せて医師に渡すまでの手順を訓練した」という。「横を向いた状態、あおむけの状態、うつぶせの場合」と、倒れている患者の体勢によっての担架への乗せ方を学んだという。春日野警備本部長は「治療は医師が行う。それまでの工程を安心に迅速に行う。時間をかけてやればいいという訳ではない。いかに早く医師に診せるか。その手順を学んだ」と説明した。

4月28日に境川部屋の三段目力士、響龍の天野光稀さんが急性呼吸不全のため都内の病院で死去した。響龍さんは春場所13日目の取組で、すくい投げを食った際に頭部を強打。自力で立ち上がることができず都内の病院に救急搬送された。

負傷時は協会関係者に体のしびれにより首から下が動かないと訴えていたが、入院後は徐々にまひした体が動くようになった。しかし、容体が急変して死去。今回実施した講習会について芝田山広報部長(元横綱大乃国)は以前に、1月の初場所で脳振とうを起こした力士がおり、もともと検討していた講習会と説明していた。