2場所連続6度目の優勝を目指す横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、無傷の10連勝で単独トップに浮上した。

元横綱朝青龍を叔父に持つ若手のホープ、西前頭5枚目豊昇龍を全く寄せ付けず、きめ出しで下した。同じく勝ちっ放しだった大関貴景勝に土がついたため、終盤5日間を残して優勝争いの単独先頭に立った。1差で貴景勝、2敗勢では関脇御嶽海、玉鷲、宇良、北勝富士が2差で追走する。

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照ノ富士が腕力で根こそぎ持っていった。豊昇龍にもろ差しを許して両まわしを取られたが、両腕をきめる形で強引にまわしを外した。52キロ軽い相手を抱え込んで1回、2回と宙に浮かせ、あとは土俵外へ運ぶだけだった。「落ち着いて取れたので良かった。体が動いてくれている」。手応えが残る内容だった。

同じく全勝の貴景勝に土がつき、勝てば単独先頭に立つ一番だった。直前の取組で土俵下に落下した高安と、自身の右足が激しくぶつかった。土俵に上がるまでに膝を少し動かす場面もあったが、打ち出し後のリモート取材では「大丈夫です」と万全を強調。終盤5日間に向けて、集中を高めるように足早で会場を引き揚げた。

2場所連続優勝の機運が高まる中で、土俵外でも存在感を強めている。26日から全国一斉発売される自身初の著書「奈落の底から見上げた明日」が、18日から会場内の売店で先行販売され、2日で約50部が完売。売店「喜久家」の担当者も「すぐに売り切れて驚きました」とうれしい悲鳴。現在は入荷待ちの盛況で、照ノ富士への注目度が浮かび上がる状況となっている。

優勝争いで1歩前に出たが、2敗勢を含めると6人が追走。直近3場所の黒星(5敗)は全て9日目以降の後半戦。古傷である両膝の状態も懸念され、油断のできない展開が続く。14年の白鵬以来となる年間4度目の優勝へ。自身初の一人横綱を務める場所で、責任を果たす。【佐藤礼征】

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