新横綱から2場所連続の優勝を決めた横綱照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、優勝が懸かった阿炎戦が“作戦通り”だったことを明かした。

1敗で追走する平幕の阿炎との直接対決を制して、初日から無傷の14連勝。阿炎に押し込まれる苦しい展開だったが、土俵際で残して攻め返した。肩透かし気味に崩して阿炎を転がし、決まり手は「押し倒し」だった。

「運動神経の良さ、そういうのは昔からありますから」と、三役経験もある相手を前日まで研究。取組前に意識したのは「勢いを止めるにはちょっとでも(自分の体を)伸ばさないといけなかった。意識していました。こっちが伸びないと相手も伸びてくれないので」。

むやみに前傾で圧力をかけず、相手の突き押しを呼び込むように意識。実際に阿炎を土俵際に誘い込み、徳俵の左足で堪えて、相手の出足が止まったところを逆襲した。「そういうの(阿炎戦の対策)は見て頭に入れておく。そのときの体と脳の感覚で取れている」と振り返った。

年間4回目の優勝は、14年の白鵬以来(白鵬は5回)。年6場所制が定着した1958年以降、新横綱場所からの連覇は62年初場所の大鵬以来59年ぶり2人目という快挙となった。