6場所出場停止から復帰した大関経験者の西三段目22枚目朝乃山(28=高砂)が、7戦全勝で優勝した。大青山との全勝対決を得意の右四つからの寄り切りで制した。

昨年5月に日本相撲協会作成の新型コロナウイルス対策ガイドライン違反が発覚し、協会の事情聴取に虚偽報告をするなどして同年6月に6場所出場停止処分を受けた。

復帰場所での優勝を「素直にうれしいです」と表現し、「先のことは考えず今日の一番、しっかり自分の相撲をとりきることだけを考えた」と言う。

土俵下からは審判で、師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)が見守っていた。「師匠にはうそをついてしまった。少しずつ恩返ししたい思いで土俵に上がりました」と言った。

大関経験者だけに長期ブランクがあっても三段目では「勝って当然」のプレッシャーがあった。「いろんなプレッシャーがあった。大関だから負けられないというのも。ただ、自分の中では感謝を忘れずに土俵に上がりました」。変わらず応援してくれた人、師匠をはじめとした部屋の関係者への「恩」を忘れず、土俵を務め、優勝というひとつの結果に結びついた。

これで来場所は幕下上位に番付を戻す。「また来場所がある。今場所の相撲のいいところ、悪いところを確認して臨みたい」と緩むことなく、気持ちを引き締めた。