大相撲を長年観戦していたら表彰されるという珍しい事象があった。

福岡・中洲のスナック「田じま」のママ、田島恵美子さんがこのほど、福岡商工会議所の魅力あるまちづくり委員会主催の「魅力あるまちづくりアワード2022」の大賞を受賞した。表彰状には「貴女は長年に渡り、福岡の女性の美しさを大相撲九州場所の中継を通して全国に発信し、福岡の魅力を全国に知らしめていただきました。この功績に感謝するとともに、ここに表彰いたします」と記されている。

30日、電話取材に応じた田島さんは「知らしめているつもりはないんです(笑い)。でも、中継を通じて、そう思っていただけることはうれしいですよね」と喜びを語った。

田島さんは2008年から毎年11月の九州場所をすべて会場で観戦。近年は向正面のたまり席に座ることが多く、その和服姿が大相撲中継を通じて全国の相撲ファンに知られるようになった。

スナック「田じま」は会員制のため、基本的には紹介がないと入れない。そのため、中継を通じてママの存在を知り、知り合いの知り合いをたどって来店にこぎつけるファンもいるという。

相撲関係者にはすっかり知られているが、コロナ禍のため親方、力士ら日本相撲協会員は本場所中の外出は制限がある。そのため、近年の九州場所は本場所後に力士らがやってくる。田島さんは「場所後の1週間はお酒を飲む量が増えるので気合を入れます。終わった1週間の方がへとへとになりますね」とコロナ禍前との違いを口にした。

コロナ禍で苦境を打開するため、昼間は店を喫茶店にした時期もあった。コーヒーの入れ方から学び、評判を呼んで満席になったほど。コーヒー店のロゴを入れた500円のフェイスタオルを1000枚販売し、その売り上げを医療従事者に寄付したこともあった。このフェイスタオル購入には、相撲部屋が協力してくれたという。田島さんは「こういうことが自分の喜びになりました」と振り返った。

来年1月6日に45歳になる。「卯(う)年ですし、跳ねてまたさらにジャンプアップしたいですね」と話している。【佐々木一郎】