今場所前の新弟子検査で合格した7人を含めた前相撲が始まり、両親がブラジル人で日本国籍、本名飯間ルーカス一夫の飯間(23=安治川)は黒星デビューとなった。

立ち合いから聖富士(伊勢ケ浜)に押し込まれ、強引に投げに出た。だが投げの打ち合いで、最後は押しつぶされるようにして上手投げで敗れた。

岐阜県出身で、名古屋経大ではラグビー部だった。まだ仮部屋で、立ち上げたばかりの安治川部屋に所属。安治川親方(元関脇安美錦)に誘われて、競技経験はなかったが相撲界に飛び込んだ。

取組後は「ものすごく緊張していて、あまり動けていなかったと思います。未経験で、自分の型とかがまだない。それを、この前相撲でつくっていければと思っています」と、敗れてもハキハキと、礼儀正しく答えていた。

師匠からは「未経験なのだから、前相撲の経験を体に刻んでいくように」と、前夜に言われたという。自身では「四つ相撲の方が向いているかも。ラグビーをやっていたので(立ち合いで)当たった時も、思ったよりも耐えられた。ラグビーの経験が生きているのかなと思います」と分析。今後の成長を、誰よりも本人が楽しみにしている様子で「負けてしまいましたが、この後、部屋に帰ってすぐに、土俵に向き合おうと思っています」と話した。

理想は関脇高安で「腕を使って、相手を思い切り押し上げ、そこから押し込むような相撲を取りたい」と、かち上げの立ち合いにあこがれを持っている。相撲用語も勉強中だ。「新部屋ということで(力士が研修生含めて3人と少なく)、土俵に上がっていられる時間が長いので、経験がない僕からしたら、ありがたいです。今後、人が増えたら“お稽古”する相手も増えるので、それもありがたいです」。緊張も手伝ってか、初々しい受け答えの中に、あふれ出るやる気をみなぎらせていた。