大関経験者で西十両12枚目の朝乃山(28=高砂)が、初の十両優勝を飾った。

東十両7枚目の千代の国(32=九重)を下して1敗を死守。1差の2敗で追っていた金峰山(木瀬)が敗れたため、朝乃山の十両優勝が決まった。

この日は、17年に亡くなった母校の富山商高相撲部監督の浦山英樹さんの命日だった。本格的に相撲を始めた中学時代から指導をしてもらい、得意の右四つを徹底的に磨いてもらった天国で見守る恩師に吉報を届けた。

大関経験者としての実力を示した。初日に貴健斗(常盤山)を下して、関取として599日ぶりの白星。再十両を果たした場所で好スタートを切り、勢いそのままに負けなしの10連勝を挙げた。11日目に大翔鵬(追手風)に敗れて初黒星を喫するも、連敗はしなかった。母の石橋佳美さんから「切り替えて1日一番という気持ちで頑張って」とエールを受け、気持ちを切り替えた。13日目に金峰山(木瀬)との1敗対決を制して単独トップに立っていた。

新型コロナウイルスのガイドライン違反で6場所出場停止処分を受け、昨年7月の名古屋場所で復帰。三段目、幕下と順調に番付を上げ、この初場所で1年ぶりに関取に復帰した。場所前に、「15日間相撲を取れることへの感謝を忘れない」と話していた気持ちで土俵に上がり、新しい顔ぶれがひしめく十両でも大関経験者としての力を見せつけた。

全勝または1敗での優勝なら十両1場所通過、来場所での幕内の可能性も十分ある。優勝を弾みに、千秋楽も白星で締めくくる。