優勝を懸けた結びの一番は、20年11月場所以来の優勝を目指す大関貴景勝(26=常盤山)が、埼玉栄高の3年後輩で初優勝を狙った平幕の琴勝峰(23=佐渡ケ嶽)を、左からのすくい投げで破り、3度目の優勝を果たした。

立ってからの攻防は、大関が身上とする押しで攻め込むうちに左がスパッと入った。そのまま豪快に投げ飛ばし、優勝を決めた。

本来の押しに徹した相撲ではなかった。報道陣とのリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も「(左を)差したというより差してしまった」と本来の流れではないことを分析しながら「でも前に出ている。前に出ての投げだから(決まった)。その前に(琴勝峰の)体も崩れた」と貴景勝の圧力を勝因に挙げた。

そして、今場所の優勝について「最高の評価。1人で協会の看板を背負ってよく頑張った」と最大級の賛辞を送った。

綱とりのかかる来場所について問われると「それは何ともいえないが」と昇進問題に関しては審判部の総意を尊重するだけに明言を避けたが「大関一人で15日間、ずっと結びの一番を取った。相当のプレッシャーの中、価値ある優勝、今までで一番の優勝だろう」と、ここでも称賛の言葉を送った。さらに1つ上の番付を目指すために課題として「立ち合いの厳しさをもっとつけて」と手短に話すと、再び「前に出ることを恐れない。この大関は気が強い」と最後まで褒めたたえていた。

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