昭和以降では初となる横綱、大関不在の非常事態に、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は部屋の枠を超えた親方衆の奮起に期待した。

大関貴景勝(26=常盤山)の休場には「ケガを治して次の場所に万全の体勢で出られるようにしてほしい」と話した上で「ケガをしたのは仕方ない、ではなくケガをしない体を作ってほしい。横綱になったら、もっと苦しくなるんだから」と注文も出した。綱とりの出直しには「精神的にしっかりして責任感もあるから、そこは心配していないし期待している」と再挑戦を望んだ。

番付上で125年ぶりに1横綱1大関になった先場所に続き、今場所も照ノ富士、貴景勝が屋台骨を支える事態だが、ついにその2人が休場し、結びの一番を3人の関脇で回す異様な土俵となった。次期横綱、大関が待望されるが、時間を要するところ。ただ八角理事長は「親方衆が頑張って指導して横綱、大関を育てなければいけない」と話した上で、それは数年先を見据えてのことかと問われると「今すぐです。三役は大関に一番近い」とし、さらに「それから2、3年後には(今場所3人いる)新入幕もいる」と話した。

その指導についても「巡業では(部屋の枠を超えて)みんなで指導できる。それは伝統ですから」と、協会全体で一致団結して横綱、大関を育てることに期待。今場所の力士には「気力を出して内容的にはいい相撲を取っている。その中で突き抜ける人が出てきてほしい」と願った。