大関とりに挑む豊昇龍(24=立浪)は、勝ち越しを決める8勝目を挙げた。平戸海との攻防ある相撲を、掛け投げで制して1敗を死守した。

昨年九州場所と並ぶ自己最速タイの9日目での勝ち越しを決め、「うれしいす。落ち着いていけたんで良かった。動きも悪くないと思います」と振り返った。大関昇進目安の3場所33勝へ、残り6日間で4勝。勝ち越しの余韻に浸ることなく、「1日一番で集中しています」と短い言葉で気持ちを入れ直した。

直近の春場所と夏場所で計21勝を挙げ、今場所初日に翔猿、2日目に正代を下して2連勝と幸先よいスタートを切った。横綱照ノ富士を破って勢いに乗る錦木に前日の3日目に敗れて初黒星を喫しても、「終わったことなんで気にしないです」。負けん気の強い男が燃えないはずがない。連敗を避けたいところで4日目の御嶽海を寄せ付けずに星を伸ばした。5日目に阿炎を下し、序盤戦は4勝1敗。「悪くないと思います」と集中を切らさずにいけている。

中盤戦に入っても勢いは衰えない。6日目に翠富士を退け、7日目には大関経験者の朝乃山を撃破。8日目にはくせ者の宇良を寄せ付けず、冷静にはたき込んで5連勝。「相手をちゃんと見ながらいこうと思っていたので、それができて良かった」と納得の内容だった。

連日の厳しい暑さの中でも、稽古量は変わらない。名古屋入りしてからは積極的に出稽古へ行き、対戦する上位陣と相撲を取った。同じモンゴル出身で仲の良い新大関霧島に後れを取るわけにいかないという気持ちが強い。今場所から濃紺の締め込みを締め、好きな青の真新しい締め込みで目指すべき地位をつかむ。そんな強い決意がにじむ。

元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏のおいとして、21歳9カ月で大関昇進を果たした憧れのおじの背中を追いかける。9日目にして勝ち越しを決め、大関昇進目安の「三役3場所33勝」へ白星を積み重ねる。

◆豊昇龍智勝(ほうしょうりゅう・ともかつ)本名・スガラグチャー・ビャンバスレン。1999年5月22日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。千葉・日体大柏高から立浪部屋に入門し、18年初場所で初土俵。19年九州場所で新十両、20年秋場所で新入幕、22年春場所で新小結、同秋場所で新関脇。得意は右四つ、寄り、投げ。188センチ、142キロ。

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