<大相撲秋場所>◇5日目◇14日◇東京・両国国技館

関取衆最年長で西前頭3枚目の玉鷲(38=片男波)が、初土俵からの通算連続出場を、元関脇富士桜に並ぶ歴代2位の1543回に伸ばした。

04年初場所の前相撲で初土俵を踏み、翌春場所で番付にしこ名が載ってから、20年目で歴代2位まで浮上した鉄人。この日は豊昇龍に押し出され、初日から5連敗となったが、持ち前の馬力で結び前の場内を沸かせた。歴代1位の元関脇青葉城の1630回までは、あと87回となった。

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「趣味は人間観察」。大けがもなく、無休を続けたことと玉鷲の“趣味”は無関係ではない。立ち合いの良しあしが、勝敗を大きく左右する押し相撲。仕切りの間、相手を観察して「緊張しているのか」「変化を考えているのか」などと読み解くのが、醍醐味(だいごみ)の1つだという。

04年初場所、19歳で初土俵を踏む以前、モンゴルから来日するまではホテルマンを目指していた。実際にホテルで研修を受けたこともあった。「観察していると分かる。お客さんが食事を楽しみにしているのか、疲れて休みたいのか、デートでカッコイイところを見せようとしているのか。その全部に合わせて対応するよう、ホテルマンを目指した経験が生きている」。

当時、身に付けた特技は「片方の腕で大皿料理を7枚同時に運べること」だ。ファンの間で有名な特技の手芸同様、器用さ、繊細さに加え、バランス感覚も抜群。ちなみに現在は189センチ、178キロの大きな体だけに「自分が料理を運ぶと『おいしそうに見える』と喜ばれた」と笑う。ホテルマンになっていたとしてもファンに愛され、一流になっていただろう。【高田文太】

◆初土俵以来の通算連続出場記録(★は現役)

<1>1630=青葉城

<2>1543=富士桜、玉鷲(★)

<4>1456=貴闘力

<5>1425=高見山

<6>1367=大竜川

<7>1359=寺尾

<8>1316=豊ノ海

<9>1302=芳東(★)

<10>1297=飛騨乃花