今年春場所に続く2度目の優勝へカウントダウンが始まった。大関霧島(27=陸奥)が、2敗同士の直接対決を制した。結びで西前頭8枚目の熱海富士(21=伊勢ケ浜)を寄り切りで下し、今場所初の単独トップに躍り出た。

初優勝を目指す幕内最年少の大器の前に、大関の高い壁として立ちはだかった。12日目の豊昇龍戦に続き、今場所2度目の“銀星”を狙う相手に番付上位の力を見せつけた。

大一番を前にも、霧島のルーティーンは変わらなかった。この日朝も変わらず稽古場に下り、基礎運動や一丁押しを黙々と行って汗を流した。巡業や伊勢ケ浜部屋で出稽古で胸を合わせた程度の熱海富士について「可愛らしくて面白い」と人柄に好印象を受けていると率直に語った。先場所から続く相手の快進撃には、「なんで急に強くなってきたのかな」と興味津々だった。

共に稽古量が豊富な2人。対戦を控え、「じゃあ、どっちが(いっぱい)稽古してきたかだね」と勝負の分かれ目を指摘。「自信を持っていかなきゃ」と力強く言った。その言葉通り、若い新鋭の挑戦に真っ向から受け止めた。年間最多勝を確定させる61勝目。来年4月に定年を迎える師匠の陸奥親方(元大関霧島)と臨む最後の九州場所。師匠のご当所場所で優勝すれば、来年1月の初場所で綱とりとなる。実りの多き1年を有終の美で飾れるか。【平山連】