東前頭17枚目の尊富士(24=伊勢ケ浜)が、初日から10連勝で110年ぶりの新入幕Vへ大前進した。

1差で追っていた大の里との対戦に勝利し、2番手に2差をつけた。大横綱大鵬が新入幕時に記録した11連勝にも王手。記録ずくめの快挙に向けた残り5日の終盤戦に臨む。

日大の尊富士と日体大の大の里。大学でライバル関係にある両校だが、当人のアマ実績は対照的だ。アマ横綱など数々の栄冠を獲得した大の里は、大相撲で幕下10枚目格のデビュー。一方、尊富士は全国学生選手権団体優勝はあるが、左膝靱帯(じんたい)断裂の大けがを負うなど、個人成績はなく、前相撲からのスタートとなった。

尊富士にとって、1歳下の大の里はかねて意識する1人か問われ「それはそうですね」とはっきりライバル心を示す。アマエリートに対し、たたき上げの意地がある。スタートは違えど、入幕はわずか1場所遅いだけ。追いつき、追い越す勢いを携えてきた。

優勝争いでも大きな意味を持つ一番だった。新入幕力士が優勝すれば優勝制度ができた1909年(明42)以降、1914年(大3)5月の両国以来、110年ぶりの快挙となる。

大一番を制しても、尊富士に緩みはない。「ここまできたら弱い人はいない。一番一番重い時間を背負う。その中でやっていきたい」と話していた。いよいよ勝負の5日間を迎える。

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