西前頭5枚目大の里(23=二所ノ関)は、初優勝にあと1歩まで迫ったが、届かなかった。ざんばら髪の力士として史上初、所要6場所で史上最速など、優勝すれば数々の快挙が加わっていたが、自身よりも先の取組で、単独トップの尊富士が勝っていたため、初優勝の可能性は消滅していた。それでも敢闘賞、技能賞を獲得するなど、今場所を象徴する活躍を評価された格好となった。

石川県津幡町出身で、元日に発生した能登半島地震で、故郷のことが気になって仕方ない日々を送っていた。それでも「震災のことを簡単には答えられない」と、被災者のことを思って、個人的な思いは封印した。ただ「頑張っている姿を見せたい」と、自らの活躍で、1人でも多くの故郷の人に、元気や勇気を届けたい一心だった。2月には同じ石川県出身の遠藤、輝らと一緒に、被災地を訪れた。内灘町では、避難所生活を送っていた祖父に物資を手渡し、心からホッとしたような表情を見せていた。初優勝はならなかったが、故郷に元気と勇気を届ける活躍を、十分すぎるほど見せた場所となった。

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