大相撲の新たな中心世代か。日本相撲協会は27日、大阪市内で大相撲夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、新十両3人の昇進を決めた。

阿武剋(おうのかつ、23=阿武松)、塚原改め栃大海(24=春日野)、風賢央(かぜけんおう、24=押尾川)は、春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った尊富士や、優勝を争った大の里と同世代。尊富士と高校時代に対戦した栃大海はライバル心を燃やした。

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「大器」と言われ、約7年を要してようやく関取の座をつかんだ。元中学横綱で名門・春日野部屋の期待を背負う塚原改め栃大海は「やっとスタートラインに立てた」と表現した。

高校は大相撲に多くの関取を輩出する埼玉栄で、同級生に幕内の王鵬、琴勝峰がいる。そして春場所の話題を独占し新入幕優勝を飾った尊富士とも同じ年で高校3年時、インターハイの団体戦で対戦し敗れている。しのぎを削った相手が、はるか上を行く快挙を成し遂げた。「すごいな」と感嘆する一方で、「悔しい思いで(活躍を)見ていた」と本音をもらした。

身近にいた存在だけに肌感覚で伝わる。栃大海も序ノ口、序二段と優勝し7場所目に幕下昇進と順調に出世してきた。しかし、幕下に32場所。昨年春場所、秋場所は東筆頭と“王手”をかけながら3勝5敗、1勝6敗と壁にはね返されてきた。「ふがいない成績で恥ずかしいというか…」。足踏みから背中を押したのが同世代の活躍だった。

「(尊富士の優勝は)本当に刺激になった。追いついて追い越せるように。自分も幕内優勝できるよう、しっかり稽古を積んでいきたい」。海なし県の埼玉出身だが、海が大好きで選んだ新たなしこ名。先を行くライバルを追いかけ大海に乗り出す。【実藤健一】

◆栃大海隆明(とちたいかい・たかあき)本名・塚原隆明。1999年(平11)10月12日、埼玉県越谷市生まれ。相撲は小学3年から。黒須中3年時に中学横綱。埼玉栄高に進み、春日野部屋に入門。17年九州場所初土俵。192センチ、148キロ。得意は突き、押し。