日本相撲協会は28日、東京都内で理事会を開き、宮城野部屋の宮城野親方(39=元横綱白鵬)、間垣親方(34=元前頭石浦)の親方衆2人と、十両伯桜鵬(20)ら力士ら全員が伊勢ケ浜部屋に転籍すると決めた。同協会はあくまで所属する伊勢ケ浜一門での預かりとしているが、事実上の閉鎖。現役時代に史上最多の優勝45度など数々の大記録を樹立した宮城野親方は部屋付き親方として再出発を図ることになった。

理事会後に取材対応した佐渡ケ嶽広報部長(元関脇琴ノ若)は「伊勢ケ浜一門の代表である浅香山理事から4月以降、伊勢ケ浜部屋で宮城野部屋所属員全員を預かるとの報告がありました」と説明。夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)以降について「宮城野部屋の力士たちは伊勢ケ浜部屋の力士として土俵に上がりますので、当面は両部屋力士の対戦はありません」と話した。今回の目的は「宮城野親方への師匠、親方の指導教育について」とし、「浅香山理事、伊勢ケ浜親方を中心として伊勢ケ浜一門が責任をもって行うことになります。預かる期間は設けず、毎場所後、浅香山理事、伊勢ケ浜親方から執行役員が状況の報告を受ける予定になっております」と説明した。

宮城野部屋をめぐっては、元幕内北青鵬の暴力が発覚し、宮城野親方が2階級降格などの処分を受け、3月の春場所は師匠を外された。同場所中は、同じ伊勢ケ浜一門の玉垣親方(元小結智乃花)が師匠代行を務めていたが、その後は一門預かりとなり、一門の親方衆が同場所中に協議した。

1度は2人の親方衆、力士らが、いずれも異なる部屋への転籍案を、協会執行部に提出していたが、これが認められなかった。師弟一括での転籍先を模索する中で、一時は浅香山部屋への転籍案も検討されたが、最終的には伊勢ケ浜部屋が受け入れることになり、これがこの日の理事会で承認された。

佐渡ケ嶽広報部長は「これは本当に今後の宮城野親方と力士にとってベストな方法を執行部と一門とで段階を踏んで話し合ってきた。何度も制裁を加えているわけでもない。重いとか軽いとかではない」ときっぱりと言った。

3月中に宮城野部屋から伊勢ケ浜部屋へと引っ越し作業が行われ、4月からは伊勢ケ浜部屋所属として新たな体制で行われることになる。佐渡ケ嶽広報部長は「伊勢ケ浜親方から教育してもらって、また宮城野親方が立派になってくれれば」と期待を寄せた。