東十両6枚目の嘉陽(26=中村)が同7枚目の玉正鳳(32=片男波)を押し出し、今場所初白星を挙げた。「昨日もこの相撲を取ればよかった」と振り返るほど会心の一番だった。

一時は172キロまで絞った体重も、今は180キロ。「えびすこが強い」と言われる大食漢で、飲む量も豪快だ。

前日の親方トークイベントで、師匠の中村親方(元関脇嘉風)が、嘉陽の豪快エピソードを明かしていた。

初日の4日前の9月10日のこと。早朝から中村部屋への密着取材が入っていた。取材スタッフが午前6時45分にインターホンを押し、中村親方が対応すると、部屋の前にタクシーが止まっていた。後部座席には泥酔して眠った嘉陽が座っていて、運転手が困っていたという。中村親方はタクシー料金を支払い、嘉陽の目を覚まさせた。

中村部屋では、午前7時にスムージーを飲み、同9時から隅田川沿いでアジリティートレーニング(俊敏性を高める練習)を行う。門限はなく、トレーニングや稽古を時間通りに参加できれば問題なし。これが部屋の方針だ。中村親方は「嘉陽は6時45分に帰ってきたのに、7時のスムージーから参加していました。9時のアジリティーもいつもより声を出していました」と振り返った。

この日の取組後、嘉陽は「すべて事実です。(飲み会が)意外と長引いて朝になってました」と苦笑い。翌日に密着取材が入っていることを知りながら、ウイスキーのボトルを数本空けたという。その後のトレーニングもしっかりこなし「やらなきゃ示しがつかない。きつかったです」と回想した。

アスリート化が進む近年の角界にあって、昭和のお相撲さんのようなおおらかなエピソード。これもまた、嘉陽の魅力の1つだ。【佐々木一郎】

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