西前頭筆頭の義ノ富士(24=伊勢ケ浜)が、2日連続で金星を挙げた。横綱大の里(25)を上手投げで撃破。大の里戦は2戦2勝とし、3日目に豊昇龍(26)を寄り切った一番に続いて、横綱を連破した。2日連続の金星獲得は、2020年初場所3、4日目の妙義龍以来6年ぶり。現行規定では最多となる61本の懸賞金を手に入れた。
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作戦通り、ではない。義ノ富士にとって、想定外のことが次々に起きた。大の里が得意とする右差しをあっさり許し、上体が高くなった。左上手を取り、下がりながらの上手投げ。「横綱の圧力がすごくて、どんどん前にでられたので、あれしかなかった」。とっさの対応で金星を呼んだ。懸賞金は2日で111本(666万円)を荒稼ぎした。
朝稽古で、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)と作戦を練った。左を固めて右から起こし、密着して左を差しにいこう-。「1つもできなかった」と反省したが、とっさの対応で白星につなげた。
独特の雰囲気が漂う結びの一番。3日目が初体験だったが、豊昇龍を破り、この日も制した。「結びは慣れない。緊張感がすごくて…」「みんなが見ている取組なんで、自分もあがっちゃう」と話すものの、度胸満点の動きで2戦2勝。控えに座っている時、安青錦と王鵬が落ちてきて左足首を痛めた。まさかの事態にも動じなかった。
想定外の出来事は慣れている。元横綱白鵬の宮城野部屋に入門する予定が、不祥事により部屋が閉鎖された。入門を断ったはずの伊勢ケ浜部屋に合併となり、気まずい思いをした。大部屋での他人のいびきが苦手。一時は体重が減る苦難も乗り越えた。初土俵から10場所連続勝ち越し中。まだ大銀杏(おおいちょう)を結えないが、三役は目前に迫った。
「うれしいけど、場所は終わっていない。ここから何が起こるか分からないので、しっかり自分の相撲を取っていきたいです」。何が起こるか分からない-。説得力のある言葉を残しつつ、初場所序盤の話題をさらい始めた。【佐々木一郎】
▼幕内後半戦の九重審判長(元大関千代大海) 義ノ富士は取組前から堂々としていて、食いそうな雰囲気があった。立ち合いは先に手をついて待っていて、大の里がそれに合わせる感じで軽くなっていた。相撲が強い。腰も強い。引きつけも、筋力も強い。高く評価しています。大の里は、義ノ富士を脅威に感じているのでは。詰めが甘かった。
【アラカルト】
◆義ノ富士直哉(よしのふじ・なおや)
★出身 01年(平13)6月25日、熊本県宇土市出身。熊本県宇土市出身。本名草野直哉。小1から宇土少年相撲クラブで始めた。宇土市立鶴城中3年時に中学横綱。文徳高では、3年時に総体団体優勝、個人2位。
★大学9冠 日大では、全国学生体重別大会で無差別級2連覇。全国学生選手権個人優勝など9冠。元横綱白鵬の先代宮城野親方にスカウトされ、角界入りを決断。
★スピード出世 幕下最下位格付け出しで24年夏場所初土俵。新十両となった25年春場所から2場所連続優勝で同名古屋場所で新入幕。出世の速さに髪の伸びが追いつかず、まだ大銀杏(おおいちょう)は結えない。
★競輪一族 父信一さんは元競輪のA級選手。親戚には6人の競輪選手がおり、父のいとこには元S級で通算195勝の森内章之氏。
★サイズ 183センチ、153キロ。得意は右四つ、寄り。

