[ 2014年6月26日7時50分

 紙面から ]10年6月、W杯南アフリカ大会に臨むメキシコのハビエル・アギレ監督(左)

 日本サッカー協会が次期日本代表監督として、メキシコ人のハビエル・アギレ氏(55)とすでに交渉を始めていることが25日、分かった。年俸150万ユーロ(約2億1000万円)で、18年W杯ロシア大会までのオファーを出した。日本人以外のコーチ人選も一任。アギレ氏は10日でスペイン1部リーグのエスパニョールとの契約が満了。同氏が日本に興味を示せば詰めの交渉に入る。(金額はすべて推定)

 アギレ監督招聘(しょうへい)へ、日本協会が動いた。リストアップから1段階進む条件提示にこぎ着けた。年俸約2億1000万円、W杯ロシア大会までの指揮を前提とした条件を提示。スタッフの人選も一任し、同氏の意向を探っている状況。前向きな返答が届けば、本格交渉から詰めの作業に入る。

 エスパニョール監督として今季を終えた同氏は現在、母国に戻り地元のテレビ局テレビ・サで、W杯解説者を務めている。同クラブとの契約が10日に切れたことから、既にフリー。違約金なども発生しない。

 日本協会は、4年前のW杯南アフリカ大会後の監督人選で難航を極め、新体制で臨む予定の2試合(10年9月4日のパラグアイ戦、同7日のグアテマラ戦)にザッケローニ監督の指揮が間に合わなかった。4年前の反省から、今回は早期からリストアップに着手。速やかに交渉を進めている。

 アギレ監督は堅守速攻の戦術をベースにしながら、ボールをキープしてパスをつなぐポゼッション・サッカーを織り交ぜるなど、柔軟な戦術を用いる。選手の特性を引き出し、自分のスタイルを貫くより、持ち駒の能力を最大限に引き出す能力にたけた知将だ。

 4月下旬、日本代表監督就任について日刊スポーツの直撃に「広報を通せ。私は誰にも何も言えない。友達にさえも」と口を固く閉ざした。ただ、5月下旬にスペイン紙マルカの取材に「(去就は)クラブにもよるが、今は代表を選ぶだろう。欧州以外のオファーはより魅力的だ」と話した。

 日本協会の大仁会長は「(9月の代表戦までに)はっきりしたい」と慎重な姿勢を貫いた。アギレ氏には、カタールやサウジアラビアなどの中東諸国からもオファーが届いている。02年W杯日韓大会、10年南アフリカ大会の2大会でメキシコ代表の指揮を執り、チームを立て直し決勝トーナメント進出に導いた中米の名将。その動向が注目される。

 ◆ハビエル・アギレ

 1958年12月1日、メキシコ市生まれ。両親がスペインからの移民で、本人の愛称はスペイン・バスク地方の人を意味する「El

 Vasco(エル・バスコ)」。現役時代はクラブ・アメリカ(メキシコ)やオサスナ(スペイン)などでMF、DFとしてプレー。指導者としてはAマドリードなどを経て、12-13年シーズン途中からエスパニョール監督。代表チームはメキシコを2度率いたことがあり、02年W杯日韓大会、10年南ア大会でともに16強に進出した。