三谷幸喜氏が舞台に帰ってきた。放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の脚本を手掛けていたため、その準備と執筆で舞台から2年ほど遠ざかっていた。しかし、このほど最終回までの脚本を書き上げ、10月1日初日の舞台から久々に舞台の仕事を再開した。その舞台は草なぎ剛と香取慎吾の2人芝居「burst!~危険なふたり~」(日本青年館ホール)。2015年に初演された作品で、三谷氏も30日の舞台稽古では「大好きな作品で、再演をやりたかった。夢がかなってうれしい」とコメントしていた。

そして、11月には「鎌倉殿の13人」に出演していた俳優8人が大挙して出演する舞台が始まる。「ショウ・マスト・ゴー・オン」(世田谷パブリックシアター)。三谷氏が主宰した東京サンシャインボーイズが活動を休止した1994年にも上演された作品で、実に28年ぶりの再演となる。

「鎌倉殿」で後白河法皇の寵愛(ちょうあい)を受けた丹後局を演じた鈴木京香をはじめ、頼朝の弟で阿野全成役の新納慎也、頼朝と対立した伊東祐親役の浅野和之、女武者の巴御前役の秋元才加、後鳥羽上皇役の尾上松也、宮廷で権勢を奮う藤原兼子役のシルビア・グラブ、頼朝の側近三善康信役の小林隆、御家人の足立遠元役の大野泰広と8人も出演する。

今回の上演に際して、「ショウ・マスト」にした理由を三谷氏は「大河では暗い話(でも面白い)をずっと書いていたもので、久々の舞台はその反動で、思い切り明るくて楽しくて笑いに満ちあふれたもの(でも胸に迫る)にしよう思いました」と明かしている。

大河勢以外にもウエンツ瑛士、今井朋彦、藤本隆宏、峯村エリ、井上小百合らが出演する。1991年の初演、94年の再演を見ているけれど、余命わずかの老役者の舞台をサポートするため、共演者や裏方が奮戦するストーリーだった。しかし、今回は令和の時代に合わせてリニューアルしているという。これだけの手だれの俳優がそろっているからには、三谷氏も存分に書き直しているはずです。令和版「ショウ・マスト」はどう変わっているのか、楽しみです。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)