民放10月改編で2年ぶりに勃発した“日曜バトル”が活発化している。日本テレビ「ザ!鉄腕!DASH!!」(午後7時)と「世界の果てまでイッテQ!」(午後8時)の牙城に挑んだテレビ朝日とTBSの新番組が2ケタ視聴率に乗せ、見違えて戦える状態になってきた。「DASH」「イッテQ」の相次ぐ激震という“敵失”もあり、日曜バトルはかつてない争いになりつつある(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。

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18日の日曜(午後7時、8時)は、3局とも2ケタ視聴率が並ぶ戦いとなった。

◆日本テレビ 「DASH」13・6%、「イッテQ」16・5%

◆テレビ朝日 「じゅん散歩SP」(7時~9時)11・6%

◆TBS 「消えた天才」(7時~9時)10・7%

日曜バトルで大健闘しているのが、テレ朝の「ポツンと一軒家」(午後8時)だ。18日は「じゅん散歩SP」で放送がなかったが、10月から「イッテQ」の裏でレギュラー放送が始まると、11・8%(10月14日)、12・8%(同21日)、13・7%(同28日)、14・4%(11月4日)、15・4%(同11日)と猛烈な勢いで視聴率を上げ、今月11日は「イッテQ」の16・6%にあと1・2%と肉薄した。6時半から90分枠の「ナニコレ珍百景」も10~11%台の2ケタで健闘中。「スポーツ大将」「日曜アメトーク」で1ケタを刻んでいた改編前とは見違える戦いぶりとなっている。

TBSも、18日の「消えた天才」が10・7%を獲得し、2ケタに乗せた。こちらも、改編前の「ピラミッド・ダービー」や「東大王」(水曜へ枠移動)が5~7%あたりの戦いだったことを考えると見違える。7時台の「坂上&指原のつぶれない店」が2ケタ番組に成長すれば、日曜7時、8時は3局が2ケタ水準でしのぎを削る活況となる。

ざっくり調べたところ、スポーツの世界戦やM-1グランプリなどの特番を除き、レギュラーもので3局が2ケタで並ぶのはここ4~5年はなく、最も惜しいのは14年2月2日(「DASH」18・7%、「イッテQ」20・6%、TBS「駆け込みドクター」10・9%、テレ朝「シルシルミシルさんデー」9・9%)までさかのぼる。いかに「DASH」と「イッテQ」が盤石だったかということだ。

しかし、そんな両番組も最近は少々様子が変わってきた。昨年、年間平均19・7%という驚異的な視聴率を記録した「イッテQ」は、TBSとテレ朝の挑戦を受けたこの10月以降20%超えはなく、16・8%(10月28日)、16・6%(11月11日)など16%台もちらほら。目玉コーナー、祭り企画のやらせ疑惑も浮上し、テロップで謝罪した18日放送分も16・5%だった。「DASH」も、元TOKIO山口達也不在で初めて放送された5月13日の20・8%を最後に下降。10月以降は13%~14%台で推移している。

ライバル局関係者は「日テレさんの背中が見える時も出てきた」「今回は準備万端の自信作で勝負している。歯が立たずに死屍(しし)累々だった今までとは違う」「敵失とはいえ、チャンスはチャンス」と、これまでとは目の色が違う印象だ。

民放が日曜夜を特別視してバトルを繰り広げるのは、ここが1週間の流れと局の勢いを左右する編成の本丸であるためだ。在宅率が高く、各局がファミリー向けの重点番組を並べる目抜き通り。枠の広告料も他曜日より高い。ここで弾みをつけて月~金曜につなげ、ステーションイメージを上げていく。日テレが4年連続視聴率3冠であるのも、日曜を制してきたことが大きい。

長年にわたり日テレの日曜を支えてきた「DASH」の激震と、「イッテQ」の金属疲労。追い打ちを掛けるように、同局は先月、足掛け5年にわたる月間視聴率3冠を逃している。日曜バトルの行方が業界の勢力図に影響するのか、しないのか、注目したい。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)