6日に虚血性心不全で亡くなった現役最高齢の歌舞伎俳優中村小山三さん(享年94)の通夜が8日、東京・中野坂上の宝仙寺で営まれた。喪主を務める中村勘九郎、中村七之助は、浅草で公演中の「平成中村座 陽春大歌舞伎」の終演後に駆け付けた。

 中村屋に仕えてきた小山三さんのひつぎには、17、18代中村勘三郎さんの写真、いつも抱いて寝ていたパグ犬のぬいぐるみが納められた。稽古着でほほえむ遺影は4年前、明治座の楽屋で撮られたという。戒名は「春雷院鳳舞山翁居士(しゅんらいいんほうぶさんおうこじ)」。長寿をまっとうしたことで、翁の文字が入れられた。

 笑福亭鶴瓶は「舞台が温かくなる必要な方。なんぼ年取ってもあの味は出ない。100歳くらいまでいかはると思ってた」。中村扇雀は「仲居をやろうが芸者をやろうが、空気が一瞬でタイムスリップするんです。僕たちはそれに引っ張ってもらいました。歌舞伎界にとっては損失です」と悼んだ。

 参列者はほかに松本幸四郎、片岡仁左衛門、中村歌六、中村又五郎、中村錦之助、片岡孝太郎、中村獅童、中村歌昇、波乃久里子、笹野高史ら。

 告別式は9日午前11時から同所で。