昨年11月に売野氏の35周年記念トリビュート・アルバム「砂の果実 Fujiyama Paradise Tribute」でCDデビュー。「ジュリアに傷心」「夏のクラクション」「め組のひと」「六本木純情派」などを日本語で歌っている。売野氏は「外国人によるポップスは、時にものすごいヒットすることがある。そこにエントリーしようということです」と自信を見せる。

 意外な発想と自信は、過去の実績から。中森明菜(51)を単なるアイドルから、時代を象徴する歌姫に押し上げたのは82年のセカンドシングル「少女A」だった。「最初は中年の男が美少女を眺めている詞を書いていたんです。それを、視点を変えて、少女から男を見たらどうだろうと思って書いた。詞が先で、それに芹沢さんの曲を当てはめた。明菜ちゃんとはレコーディングの1回しか会わなかった。不機嫌そうにしてたけど、それがよかった」。

 1つ1つの言葉よりも、コンセプトから。84年にヒットした郷ひろみ(61)「2億4千万の瞳」も詞が先だ。「プロデューサーの酒井政利さんが(小説の)『二十四の瞳』ってある、と。2と4の付く曲はヒットする、と。日本の人口が1億2千万、じゃ2億4千万の瞳ってちょうどいい。そのコンセプトに従って書きました。打ち合わせは1回だけ、僕のアイデアはゼロ(笑い)」。

 今年2月には作詞家生活35周年記念アルバム「真夏のイノセンス~作詞家・売野雅勇Hits Covers」を発売。表題曲は杉山清貴(57)の新曲だ。

 「やりたいことが、あと1個だけある。ロックミュージカルをやりたい」。

 創作意欲は、衰えることがない。【小谷野俊哉】

 ◆売野雅勇(うりの・まさお)1951年(昭26)2月22日、栃木県生まれ。上智大卒業後コピーライターに。ファッション誌編集長を経て、81年河合夕子の「東京チーク・ガール」で作詞家デビュー。90年映画「シンデレラ・エクスプレス」の脚本・監督。01年舞台「ミッシング・ピース」の脚本・プロデュース。02年からはドラマサイト「Radiogenic」を主宰している。